TOPTalk : 対談

宮島永太良、のーじーさんとジャズ談義♪  後編


のーじーさんのライブ

◎のーじーさんプロフィール

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会社員/ジャズスボーカリスト。
本名:大竹幸一(おおたけこういち)。
1957年4月5日 東京生まれ O型。
東洋大学卒業。
趣味は俳句。

 

のーじーさん、ジャズから俳句を語る!

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宮島永太良(以後・M):ジャズの歴史的視点、エピソードありがとうございました。  お話から時代の流れを感じます。  そこで、改めてお尋ねしますが、のーじーさんにとってのジャズとは?
のーじーさん(以後・N):アートとか自己表現とは、遠いところにあると思います。  まず自分がアマチュアであることが大切。  だからこそ、面白いこと以外はしない、そこがプロに対する1番の強みです。  それでも、ジャズはプロとアマチュアの交流ができる音楽、それも良い。

のーじーさん

M :歌っていてどうですか?
N :ジャズは聴いているより歌っている方が楽しいです。

M :好きな曲を歌いたくなりますか?
N :その傾向はあります。  ただ、好きな歌でも自分に合っているとは限らず、歌えない曲もありますね。  是非、宮島さんもジャズを歌ってください♪

M :カラオケなら、なんとかなるかもしれません(笑)。
N :あと、ジャズで楽しいのは、同じ歌でもバックの伴奏者が変わると別の歌になることです。  それがカラオケと全く違うところで、毎回違う歌を歌えるのは、幸せなことです。  あと、大切なのはやはりお客さんです。  「受けたい!」願望が強いボクをのせてくれれば、どんどん気持ち良くなり、精一杯楽しんでもらうように努めます(笑)。

ブルースエット

M :ちょっと飛びますが、初ライブでのお客さんの反応はいかがでした。  また、その時はどんな歌を披露したのですか?
N :「ハニーサックルローズ」はもちろんですが、好きな古いデキシィーなどを歌い、お客さんの反応は良かったです。  その記憶が残っているからこそ、こうして続けられていられると思います。

M :他にジャズを歌い続けてきて楽しかったことは?
N :アマチュアでセッションをしていても、みんなで盛り上がって良い心地になる時があります。  その素晴らしさ感触を、これからも何度でも味わいたいです。  ただ、少し堅いことを言えば音楽って言うのは、録音もありますが、本来的には文学や絵画と違ってお客さんと同じ時間を過ごすので反応も直、そこも魅力です。

のーじーさん

M :確かにお客さんと直に接するのは羨ましい。  私、普段は一人で絵を描いていますが、音楽的臨場感が味わいたくなって、ライブペインティングをした経験があります。
N :どうでした?

M :やはり、自分だけで描こうとする絵とみんなの視線を集めた環境では、描く以前から心理状態が違い、出来上がった作品も一味変わりました。
N :ジャズの場合はコード進行だけが決まっていて、みんな間奏時にアドリブをやります。  それは、ボクにすれば自転車に乗っている感じ。  つまり、自転車に乗るには技術が必要ですが、乗れるようになれば、その理由を説明できません。  で、演奏の技術を備えた人は、自転車に乗れるようになっているワケだから、道に沿った自分の走り方をすれば問題はありません。  つまり、ジャズミュージシャンもそうした感覚だと思います。  だから、ジャズは個人の感性に委ねられているパートが多いので、音楽としては変わっています。  別の見方をすれば、「ホー、ホケキョ」と、ウグイスが鳴くのと同じかもしれません。

M :どこか動物的であり、楽譜通りではないのかもしれません。
N :ビックバンドは違いますが、小編成のバンドならメロディーとコード進行が書いてある譜面があるだけで、リハーサル時にリズムとテンポを決め、本番を迎えます。  これが毎回違う音楽になる理由です。

宮島永太良

M :そのアドリブを録音して名演奏になったモノもあると思いますが、それを聴き重ねて、挑戦した人もいますか?
N :勉強のため挑戦する方もいます。  でも、ジャズにはニューオリンズ初期やモダンジャズの一時期を除いてオリジナルがほとんどなく、映画音楽とかミュージカルの舞台の良い曲を演奏してアドリブを付け、曲想が変化。  それが、「ジャズに名曲なく名演奏あり」と、言われる所以かもしれません。  ですから、「人の曲を自分なりの解釈で!」が、ベースになっていて、道があれば自分のスタイルで走り抜けるのが基本。  どう考えても独特の音楽ジャンルです。

M :確かに白楽の「ブルースエット」で聞いたクリスマスソングもそうでした。
N :クリスマスソングも、ジャズでは人が変われば全然違う曲になります。

のーじーさん

M :のーじーさんが、「ハニーサックルローズ」を「変なおじさん」にする感覚は、趣味の俳句と何か関係がありますか?
N :面白い視点です。  でも、俳句を始めて3年半ですから、ジャズとは直接関係ありません。  しかし、俳句は五七五で季語があるし、ジャズのブルースはコード進行があって小節数が決まっているのが似ていなくもない。  ただ、ボクは俳句より句会がより好きです。  何故ならジャムセッションに似ているけれど、演奏者とお客さんには境がなく、全員同じ立ち位置。  そこが素晴らしく惹かれます。 だから、ボクは句会でも受けたい一心で詠んでいます(笑)。

M :俳句と川柳の違いは?
N :俳句には季語があるけれど、川柳にはそれがありません。  ただ、偉そうなことは言えませんが、ブルース同様決まっていること、季語と言う制約のある俳句の方が、とっつきやすいと思います。

M :漠然と「何か描きなさい」と言われるより、例えば「三角形を組み合わせて描きなさい」と、言われた方が描きやすいですよね。  それに似ています。  無から作るより、何かフォーマットがあった方がやりやすいですね。  ところで、俳句は、のーじーさんの歌に影響していますか?
N :逆かな。  歌に関してボクは言葉の意味にこだわらず、音が楽しければ良いじゃないかと考えています。  でも、日常会話と違うスタンスの俳句ではかなりこだわっているかもしれません。

M :俳句は音楽より写真に近いかもしれません。
N :同感です。  カメラがない時、その瞬間を表現できるのが俳句。  芭蕉が写真を撮っていたら、数々の傑作をモノにしたことでしょうね。

M :最後に、のーじーさん自選の一句をお願いいたします。
N :4年前、東日本大震災の春に詠んだ「馬鹿野郎花見はやるぞ慎太郎」です。

M :今日は、ありがとうございました。  次のライブも楽しみにしています。  
今後とも、よろしくお願いいたします。

のーじーさんと宮島
(文・写真 関 幸貴)
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