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アートが気になるインタビュアーが宮島永太良を探る!

 

「宮島永太良研究」第17回 モチーフU

=アートが気になるインタビュアー/A=宮島永太良

:前回から宮島さんの「水金地火木どってんFlower」という作品を見ていますが、今回もさらに続けます。この作品、細かく見て行くと、自動車や新幹線なども描かれていますね。
:とにかくパーティーなので、いろいろな物を描いてみたかったのです。自動車は、見る人はわかると思いますが「スバル360」です。1958年発売の大変古い車ですが、今でもファンが多い車です。ドイツのフォルクスワーゲンビートル(こちらはさらに古く1937年)とよく似たスタイルですが、ワーゲンが「カブトムシ」というニックネームなのに対し、こちらは「テントウムシ」でした。私が小学校を卒業する1970年代末までは、まだ普通に見かけていました。



:新幹線も古い型ですね。
:こちらは「ゼロ系」といって、1964年に初めて東海道新幹線が開通した時からの車両です。その後新しい型の車両と共存しながら、2008年まで運行していました。私が子供の頃、新幹線といったら東海道だけで、この形しかありませんでした。まだ「のぞみ号」もない頃です。なのでいまだに私の中で新幹線といえばこのスタイルなのです。

:この作品は40号キャンバスを2枚併せているのでかなりの大きさですね。またこの作品から様々な展開がされていますよね。
:2008年出版の「妙な絵物語」ではこれに詩をつけました。また昨年は、この作品を描いて20年目でしたが、脳トレーニングに役立てる試みとして、間違い探しバージョンも初めて作りましたので、以下に「妙な絵物語」で展開されたこの絵に対しての詩を、また間違い探しバージョンもご紹介しましょう。




誰も見たことのない宇宙の彼方はとても綺麗だ

満月が美しく輝く頃、
その向こうの宇宙では
カーニバルが催されていた。

花は咲き乱れ、秋の花火は高く上がり、
この世の至上の楽しみがそこにあった。
何も知らない地上の人たちは、
さぞ一緒にカーニバルを
盛り上げたかったことだろう。

しかし喜びの表情が見えない。
花たちはむしろ地球に帰りたそうだ。
空気のない所では
やはり生きていけないのか?

太陽は全て知っていた。
ここで起きていることは、
地上の人の頭の中にだけある光景なのだと。
何も知らないはずの地上の人は、
勝手に未知の世界を作り上げていた。
誰も見たことのない宇宙の彼方はとても綺麗だ。
そこでは花が咲き乱れ、
秋の花火は高く上がる。

そして宇宙に広がる大海原が
引き潮になった時、
そこには夢からさめた地上の人の、
虚しさだけが残っていた。




*「妙な絵物語」生活の友社刊 より転載


:「水金地火木どってんFlower」という作品を楽しませていただきましたが、次はこの作品に出ている各モチーフと共通した作品を見て行きたいと思います。まず「花」の出てくる作品から行きます。これも「妙な絵物語」の最初に出てくるのですが「Miracle Spring」という作品です。ここにも、「水金地火木どってんFlower」とはまた違う雰囲気ですが、花が複数描かれていますね。
:これは「花まつり(花祭り)」をテーマにした作品です。仏陀の降誕日とされている催事です。

:宮島さんは毎年その名前のアートイベントを主催されていますよね。
:はい、おかげ様で17年続いています。クリスマスがキリストの降誕を祝う日としてこれほど親しまれているので、仏陀の降誕日(4月8日)ももっと祝って良いのではないかという意図で始めました。なので毎年、基本的に4月前半に開催しています。第1回の2004年時点より、少なくとも関係者の方々には「花まつり」という名前が浸透した分、始めた甲斐があったように思います。



:最初は宮島さんの個展だったそうですね。
:そうです。これは自分の個展であった第一回目の時のメイン作品でもありました。「花まつり」という名称にも合わせ、仏陀の誕生を祝う様子を、花で飾ることで表したいと思いました。菊など、仏教に関する花も意識しましたが。

:画面中央にあるのは、これまた太陽でしょうか。
:太陽のイメージに重ねて「仏陀」を象徴的に描きました。左右にある矢印のような文様は、仏陀の手を表しています。仏陀が生まれてすぐに、右手で天、左手で地を指しながら「天上天下唯我独尊」と話したとされる伝説を表しました。


  

 

  
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