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大岡川(横浜)

大岡川(横浜)

夏本番も近づく6月中旬、宮島永太良は横浜を流れる大岡川沿いを訪れた。大岡川は、現在のみなとみらい付近の海を河口に、横浜市磯子区の氷取沢市民の森にある源流まで続いているが(普通に川を語る場合と順序が逆だが)宮島にとってはやはり、京急線沿線の日ノ出町、黄金町ラインがなじみ深い。

大岡川(横浜)

この付近では毎年4月に大岡川桜まつりが開催されていることでも名高く、また宮島も関係したことがある。(後述) ただコロナ禍以降、ここ数年休祭であることは残念である。ぜひまた再開を祈るばかりだ。また黄金町は現在アーティスト・イン・レジデンスとして、アトリエやギャラリーが並んでいることで、以前から親しみがあった。こちらもまた宮島がかつて関係したことがある。(後述)

大岡川(横浜)

その黄金町といえば、終戦後は横浜でも、そして日本でも有数の風俗街で、やがて麻薬などもはびこり、良くないイメージがついていた。横浜市も1960年代くらいから何度かその取り締まりを強化、そしてイメージを変える試みも重ねてきた。

大岡川(横浜)

そんな長年の努力も実り、2008年からは黄金町バザールというアートイベントも開催されるようになり、アーティスト・イン・レジデンスも充実し、アトリエやギャラリーなどが現在も高架下を中心に軒を連ねている。現在の日ノ出町、黄金町は、最先端のアート情報基地として生まれ変わったといってもいい。バーやカフェなども次第に増え、既存の建物を生かし、また新たな建物も建てられ、新旧双方の建築がユニークに混在する姿も興味深い。場所によっては建物のモザイクを見ているようでもある。今後もこうした形で、町全体がアートを、アーティストを支えるパターンは、日本でも増えて行くことだろう。

大岡川(横浜)

この大岡川沿いと言えば、今から10年前の2013年、宮島は黄金町の京急高架下にあるアーティスト用アトリエを借りていたことがある。そしてそのアトリエ内で4月に、仲間のアーティストを招いて「花まつりVol.10」を開催したことは忘れられない。

大岡川(横浜)

現在、岡山在住である宮島の親友でシンガーソングライターの政岡玄さんが、当時この地域の人々との交流を通じて定期的にライブを行なっていて、ついには桜まつりのテーマソング「日の出桜。」の制作・歌唱の依頼を受けた。そのCDジャケットの絵を宮島が手がけたのも、ちょうどこの時であった。当時は玄さんも新曲発表の「水上ライブ」を行い、マルタが応援に駆け付けたこともまた忘れられない。

大岡川(横浜)

「あの時は3月くらいからすでに暖かく、桜の開花も早く、桜まつりの頃にはもう葉桜ばかりだったのを思い出します」と宮島は昨日のことのように回想する。「しかし参加者とお客さんたちの盛り上がりは満開以上でした」、マルタもイベントデビュー2周年を迎えようとしていた頃で、この大岡川桜まつりでも初舞台を踏んだことが懐かしい。大人の話をしてしまえば、今でこそ、マルタを中で操演するのはプロの劇団員だが、この時はインターネットで操演者を募集する等、宮島も一苦労があったという。そのために面接まで開き、中にはとてもマルタの中に入るとは思えない怖いタイプの人(?)も来たという。

大岡川(横浜)

「この半年後に、同じ横浜の赤レンガ倉庫で開かれたキャラクターショーにマルタが出場しました。そこで現在もお世話になっているダンススタジオW.Dreamの皆さんと出会い、マルタに興味を持っていただいたことで今に至っています」。この頃は宮島にとって、現在に至る様々な要素が芽生えていたのかもしれない。そして、かつてよりさらにアートの重要性・面白さが叫ばれる現在、この地域でもまた心が満開になる何かが待っているかもしれない。

(文・写真 宮島永太良)

 
 
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