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水元公園

今回の「つれTAKEロード」は、都内最大規模の公園と言われる「水元公園」を訪れた。都内最大規模と言われるだけに、さすがにその広さには圧倒される。もしかしたら、まだ回っていないエリアもあるかもしれないことをお断りしておきたい。

水元公園

所在地は東京都葛飾区であるが、常磐線の金町駅、松戸駅、つくばエクスプレスの八潮駅なども近く(とは言ってもここからは距離がある)にあり、東京、千葉、埼玉の3都県にまたがっている印象があるが、実際は東京都葛飾区と埼玉県三郷市に位置する。

水元公園

ここは小合溜井という河川が中心となった、水にあふれる公園である。「溜井」とは川の水などをせき止めて作られた用水池のことで、この地域を流れる中川の水が利用されている。江戸時代、八代将軍徳川吉宗の頃、洪水などの災害対策、また農業用水を確保するため、大場川と江戸川を結ぶ支流、小合川をせき止めて造られたのがこの小合溜井であり、簡単に言えば「溜池」である。こうした経緯から、この地を「水元」と呼ぶようになったという。

水元公園

この公園は基本的に用水池を囲んでいるものなので、普通の公園のように「池」と「川」とかの区別がつきにくい。しかし見た感じは、川の雰囲気を持つので、水のエリアは全て用水池ではあるが「池」でなく「川」と呼ぶことにする。場所によってはむしろ湖のように広大に感じる所もあるのだが。

水元公園

しかし水の流れというのはいつ見ても目の保養になる。人間にとって、そして全ての生物にとっても水はなくてはならないものであり、私たちの体の中にも水は流れているので、川の流れを見ていると、体のリズムが自然とよみがえるのだろうか?「水は方円の器に従う」という言葉もあり、どんな物と一緒でも必ず状況を合わせてくれる。それは人の体内にも当てはまるかもしれない。まさに「上善は水のごとし」とは、こういうことであろう。

水元公園

川のところどころにはスイレンが浮かんでいる。ハス類、スイレンは濁ったものを浄化してくれる作用があるらしく、太古から神聖な植物としてあがめられて来た。少なくとも葉の上にゴミ等投げないでほしい。(この日も若干その形跡あり)中央広場と呼ばれる場所には、膨大な敷地に芝生が広がっている。その広さたるや、目をみはるものがある。あるいはゴルフ場でもこのくらいの広さはあると思うが、ゴルフ場のようにホールに分かれていないだけ、より広く感じる。

水元公園

この日は心地よい晴天で、空には雲がゆっくりと進んでいた。「雲ひとつない快晴」もよいが、雲があるのもまた視覚的な楽しみが増す感じがする。流れる雲をバックに、高い木がそびえ立ち、また草々が燃える光景は、どことなくゴッホの絵画を連想してしまう。春には花見のスポットとしても賑わっているというから、秋とはまた違う色合いが、この公園を覆うのだろう。

水元公園

公園内な一番大きな橋「水元大橋」が、広い川の上にまたがる。しかしながらあまり風情はなく、どこの川にも掛かっていそうな橋であるのが気になる。この公園なら、もっとヨーロッパ的なデザインのものや、それこそゴッホの庭園の絵の中にあるような橋が架けられても良い気がするが。それに対して、ここへ行きつくまでの間の名もなき小さな橋が、煉瓦を積み上げたような(本物の煉瓦ではないと思われるが)おとぎ話のお城を連想するデザインであるのが興味深い。

水元公園

この日も九月後半であったが残暑が厳しい。しかしいったん木陰に入ると、秋の涼しさを感じる。それにしても圧倒的な数の木だ。夏であれば、セミをはじめとした多くの虫の声が聞こえそうだ。いや、むしろこれからは夕暮れ以降の静かな虫の声だろうか。夏から秋にかけては、自然の音楽会も楽しめそうである。

水元公園

門を出るとこの公園ともお別れである。とはいうものの、すぐそばを流れる荒川のほとりを引き続き歩いていると、大きな水元公園がもう一つある、といった印象まで与える。
都心にはますます大きく高い建物が建つばかりだが、一方で人が自然とともにあることを忘れさせない空間もある。この水元公園も、そんな「人間の本質」を常に思いおこさせてくれる場所と言える。

水元公園

(文・写真 宮島永太良)

 
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