TOPTalk : 対談

宮島永太良コロナ禍を語る  前編

コロナウィルスが猛威をふるい既に1年以上が過ぎました。そうした中で開催された自身の個展と企画したグループ展について宮島永太良が語りました。

宮島永太良
 
 

コロナ禍の1年を振り返る

1月27日(月)から2月2日(日)まで、銀座幸伸ギャラリーで2020年の初個展「さがしもの展」を行い、「間違い探し」や「キャラクター探し」「タイトル当て」等これまでとは一味違う作品を展示しました。コロナ禍も今ほどではなく、銀座にはまだ中国人観光客もいましたが、会期中に幸伸ギャラリーの隣の薬屋さんでマスクが売り切れたことが話題になり、「ちょっと怖い方向に向かっているかもしれない」と私は感じました。
しかし、現実には幸伸ギャラリーの立地条件の良さもあって個展には予想以上のお客様が訪れ、そのうえ作品を観ているだけでなく「間違い探し」に本気で挑む方も多く、自分が想像していた展開になり嬉しい手応えを感じました。私としては20年以上をやってきた展覧会の中で「さがしもの展」が一番良い結果になったんじゃないかと思っています(笑)。

「さがしもの展」

反面、今回は宮島永太良としての個人開催でしたが、以前、私が代表理事を務める財団法人「健康とアートを結ぶ会」主催で開いた「マルタのからだステーション展」と内容的に被る作品があったので、これから個人と法人でどのように自分自身がバランスをとって行けば良いのかという難しい課題も残りましたが、これまでにない良い経験を積めました。

 
「さがしもの展」

その後、私の誕生日4月7日に最初の緊急事態宣言が発令。この時は「健康とアート」について、より真剣に考え始めました。そんな時、ミュージシャンの星野源さんがSNSで独自企画を発信したのを知り、スティホーム中だった私もいつもと違うマンガや絵物語を描いてSNSで発信し続けました。加えて、「マルタの冒険」プロジェクトチームとはコロナウィルスへの感染予防法などを織り込んだ動画を制作、youtubeで公開しました。
とにかく家にいるだけで友だちに会うことも旅に出ることもできない、そう言う人たちの心をアートで癒せればなと思って動きました。

 
宮島永太良

ちょっと時間は前後しますが、徐々にコロナ禍が厳しくなった2020年3月下旬、新宿にあった馴染みの「JAZZ SPOT J」が、4月30日(木)で閉店することをホームページで突然発表。それを知り、4月に7年連続の10回目の個展が決まっていた私は、何とも言えない複雑な心境になりました。

 
J

私が「J」へ初めて行ったのは知人の個展を観に行った2002年9月頃だったと思います。最初から自然に入れて居心地も良く、考えられない素敵な出会いもありました。そして、2003年9月に「J」で初めての個展「JAZZ NIGHT」を開かせていただき、オーナーのバードマン幸田さんとも初めて対面。その後、私の知り合いのアーティストもどんどん同店の展示仲間となり、どんなに世の中が変わっても「J」だけは変わらないで欲しいと思っていましたが、新型コロナウィルスの蔓延によって、その願いも儚く消え去ってしまいました。

 
J

そして、「J」の最後を飾った私の個展が観られたのは、営業ができた4月の1日と2日のみだけでしたが、初個展を思い出して「JAZZ NIGHT」の作品を何点か展示させていただきました。この事情を知る人はほとんどいませんが、それは問題ではなく、ラストとなった私に残せるのは、「『J』と自分の大事な記録」との思いからでした。でも、「J」の復活を望む気持ちは今も強く残っています。

 
宮島永太良

私がプロデューサーとして臨み、コロナ禍の影響で2度延期したグループ展「アートブルーム 山本冬彦が選ぶ若手作家展」が、9月22日(火)から10月3日(土)までミーツギャラリーで開催できたのは何よりでした。とは言え、地方の作家さんは上京できなかったし、いつもならオープニングパーティ等を通してアーティスト同士の交流もありましたが、全くそれができなかったのは残念でした。しかし、今年2021年6月の第2回に繋げることができたのは幸いでした。

 
J

あと、コロナ禍だから美術作家はしばらくは作品発表を控えるかなと思っていましたが、周囲を見ていると個展をしたりグループ展に参加している人がかなりいました。お客様の来る来ないにかかわらず、展覧会を行うことに意義があるのかなと思い、私は7月6日(月)から12日(日)まで銀座幸伸ギャラリーで開催された第5回KSAC展に初参加しました。また、秋ぐらいには普通に個展をやっている人も多くなり、中にはマスクなしで普通に飲食を伴うオープニングパーティをやっている方もいましたが、それは怖いと思い私は早々に逃げてきました(笑)。

 
J

現在も含めコロナ禍の日々を考えると、皆がとても大変な状況に身を置いているのは理解しつつも自分自身や財団等様々なことを深く考えられたのは良かった。加えて今まで気にしなかったウィルスの怖さを身をもって体験できたので、いつの日か専門家の意見も取り入れたウィルス対処法を紹介できる新企画が発表できればと考えています。

 

 

(構成・撮影 世紀工房)

 
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