TOPRoad : つれtakeロード

Road : つれtakeロード

 

マッカーサー道路

今回は東京都港区のマッカーサー道路を訪ねた。ここは大変新しい道路で、2014年3月に開通している。宮島永太良にも大変なじみ深い所だという。まず気になるのは「マッカーサー道路」という名称だ。75年前、第二次大戦で敗戦国となった日本に置かれた、アメリカのGHQの最高司令官こそダグラス・マッカーサーであるが、その人物に由来するのであろうか。

マッカーサー道路

実は真にそういうわけでもないらしい。もともとこの道路はそれ以前、大正の終わりから計画されており、その後、戦争中も含めて約60年間開発が凍結されていたらしい。指揮をとったのは当時国務大臣だった後藤新平という人物であった。しかし、戦後まもなく「GHQのマッカーサー最高司令官が東京に新しい道路の建設を計画している」との噂が広まったという。実際には、そうした事実はなかったのだが、その噂の場所は徐々に移動して、現在の道路の場所が、そのマッカーサーの道路として定着しようだ。そうした歴史を経ながら、近年には現在も建設中である環状二号線の計画地に組み入れられ、2003年に60年のベールを脱いで着工、2014年3月に待望の開通ということになった。

マッカーサー道路

もともとの誤解を解くためか、この道路が開通した時、この区間の公の通称を「新虎通り」(虎ノ門に由来すると思われる)と命名、現在も地図はそう記されている。しかし、長い年月の歴史は人々をしてまたも「マッカーサー道路」と呼ばれることになってしまった。つまり「マッカーサー道路」とは通称を越えた完全はニックネームなのである。

マッカーサー道路

そうした背景はさて置き、この道路、新たに港区内の名物道路となっている。実はこの道路は地上と地下の二重構成となっているのだ。溜池から東新橋までの車道のみの道は地下トンネルとなっているが、地上には車道も含め、広い歩道を備えた趣ある道路となっている。特にこの歩道の部分が長い公園のようにも見える。歩道には自転車用のレーンもあるのが、自転車乗りにとっては嬉しいところ。たまに自転車レーンで子供がキックボードをしてるのもご愛嬌といえるだろう。

マッカーサー道路

そして東新橋側から見ると、正面には虎ノ門ヒルズがそびえている。トップに三角エッジを備えた独特な形のビルで、地下の車道はこのビルの下を通っている。地上52階・地下5階建ての虎ノ門ヒルズ。屋外には芝生広場や庭園を備えていることから、散歩でマッカーサー通りを訪れた人には良いレジャーの場となっている。

芝生広場

現代アート的オブジェも設置された芝生広場は、ミニハイキングも可能だ。「三密」を避けることが叫ばれている現在、屋外の広い芝生広場は、ありがたい場所の一つだ。子供が上れる遊具もあり、親子、兄弟で遊ぶ子たちのほのぼのとした姿も見られる。また3階の屋内にはドラえもんによく似た専属キャラ「とらのもん」のビッグフィギュアも設置している。昨年、この地下に東京メトロ日比谷線の新駅「虎ノ門ヒルズ駅」もオープンしたので、さらなるランドマーク的存在となるであろう。

芝生広場

このビルから東新橋方面を望むと、実に爽快な景色になる。虎ノ門ヒルズの麓(?)の歩道には、独立した戸建てのカフェは小売店が並んでいるのも興味深い。噂によれば、このマッカーサー道路は日本のシャンゼリゼ通りを目指しているとも聞く。確かに歩道上でお茶を飲んでくつろいでいる人々の姿などは、パリを彷彿させるかもしれない。早くそうしたちょっとしたレジャーができるようになってほしいものだ。

虎ノ門ヒルズ

2021年1月から2月にかけ、新型コロナウィルスによる緊急事態宣言が出されたが、このレポート時点ではまだ解除されていない。しかし、必ず解除され、皆が揃って楽しめる時が来るのを信じたいものだ。日本のシャンゼリゼ通りは、その時大活躍してくれるだろうか。

マッカーサー道路

(文・写真 宮島永太良)

 
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