TOPTalk : 対談

Special Talk !
 師走の大阪、Galley Amritaで個展「寄港地。」を開催中の
  服部憲明さんに展示作品等について語っていただきました…

 
服部憲明さん 個展会場で
 

◎服部憲明(はっとりのりあき)さんプロフィール

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服部憲明さんspace
ペン画とクロッキー、およびクロッキーをベースにした
ドローイング作品を制作するアーティスト。
1949年5月3日 愛知県名古屋市東区生まれ、牡牛座、O型。
1968年 愛知県立国府高等学校卒業。
1972年 日本大学芸術学部映画学科卒業。
大学卒業後 制作会社、広告代理店に勤務。
2017年12月15日(金)〜27日(水)まで、
大阪市中央区北浜のGalley Amritaで個展「寄港地。」を開催。
2018年「花まつり」にも参加予定。
個展、グループ展にも多数参加。
ミーツアートクラブメンバー

 

師走の夜、土佐堀川を臨むGallery Amritaで語る…

2017年12月下旬夕刻、すっかり暗くなった地下鉄御堂筋線淀屋橋駅から天神橋方面に向かって歩くこと約10分で、服部憲明さんの個展「寄港地。」が開催されているGallery Amritaのあるビルに着く。

服部憲明さんの個展会場Gallery Amrita

エレベーターで6階に上がり、扉が開くと同時に左側にあるカウンター越しに大阪の夜景が見え、右側からは魅力的な服部作品が目に飛び込んで来る。  よく見ると、手前には精密に描かれたメルヘンチックで明るく楽しいペン画が並び、奥のスペースにはクロッキーをベースにした迫力あるドローイング作品が力強く展示されていたが、違和感は全くない。  しかし、不思議なのはこうした全く画風の違う作品を同一作家が描いているとはとても思えない。

服部憲明さん展示作品
 

そこで編集部では、今回の個展を機に服部憲明さんの中に存在する、ふたつの画風について聞いた。

 「5年程前、ペン画とクロッキー作品を同時に展示する同じスタイルの個展を開きましたが、その時は時間的余裕がなく準備不足な感じがしました。  しかし、今回は2017年6月上旬に個展開催のお話をいただき、色々考えながら準備を重ねることができ自分なりに納得し、皆様にお披露目できる作品展示を行えたことは何よりでした。  タイトルを『寄港地。』としたのは、今の僕を描き留めておきたい思いであり、かつて船で世界一周した経験もあるのと同時に自分自身の作品制作について考えると、まだ航海途中で、目的地をしっかりと見据えているワケではないので、この辺りで一旦どこかの港に寄り、食料や燃料を積み、再び航海に旅立つ準備をする意味を込めました。

大阪の夜景

個展を見ていただいたお客様の反応も上々で、中にはかなり驚かれる方もいらっしゃいましたが、長年ふたつの画風に挑んでいる僕を理解していただくことができたと思っています。  また僕自身で言えば会場で長時間、自分の作品に対峙しているので、それまで見えなかったクセも分かり、個展だからこその収穫もありました。

服部憲明さんペン画作品の前で

次にふたつの画風についてです。まずペン画ですが、心に記憶されている光景をモチーフにして、何も見ず空想を遊ばせながら描きます。  また、下絵は絶対に描きません。  下絵を用意すると線をなぞり、絵が萎んでしまうような気がするからです。  そして、技術的には私は昔ながらのペンにインクを付けてフリーハンド描いています。  風景のいたる所に人を描き、窓の一つひとつにそれぞれの人生の一駒があるような絵を描きたいのです。

クロッキー作品

クロッキー作品はペン画と真逆のようです。  だから、形や顔の表情は意識しません。 それよりモデルの重心を捉え、肉体の表情、『気の流れ』を一気に描きたいと思っています。  そのため5分位で描くクロッキーが好きです。 10分を超えるような時間では集中力が緩慢になってしまいます。  正に短時間勝負です。  さらにドローイング作品として制作を進める際は、描いた『気の線』を効果的に表現するように努めています(笑)」。

(服部憲明さん談)。

インタビュー後、改めて夜の会場内を見回すと、ふたつの画風の向こうを目指す船に乗った服部憲明さんの姿が見えるような気がした。  アートの海は広く、まだまだ航海は続く…

 
 
(構成・写真 関 幸貴)
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