TOPTalk : 対談

宮島永太良慈善個展『異空間の発見』初日トークライブ再現!

 
 トークライブにて

◇聞き手 伊藤晴美さんプロフィール

 
伊藤晴美さん space
大阪府大阪市出身。
1977年5月22日生まれ、双子座、A型。
高野山大学文学部卒業。
現在、Art Tempo−美術時間–所属、アートプロデューサー。
 

◎個展初日の夜、宮島永太良が母親の伊藤勝代さんと共に
『異空間の発見』をサポートした晴美さんと真摯に語り合いました。

伊藤晴美さんとの対談風景

伊藤晴美さん(以下 I ):
最初に宮島さんからご挨拶をいただきたいと思います。
宮島永太良(以下M):
会場にいる皆様には急に寒くなった中をお越しいただき感謝しています。 どうもありがとうございました。今回は新作・旧作を取り混ぜて発表していますが、自分では時代によってそんなに変化しているとは思っていません。楽しみながら、ご覧いただければ嬉しいです。

I :では、何度も訊かれていると思いますが、絵を描き始めたきっかけを教えてください。また、初めて描いて絵は覚えていらっしゃいますか?
M:残念ながら記憶になくて、何時から描き始めたのかは覚えていません。 ただ、幼稚園の頃にお絵描きの時間があり、その時点でオヤツを食べるとか昼寝すると、同じように描いていました。 でも、描く内容は他の子どもたちとは違っていました。

I :どのように?

宮島永太良

M:私には小さいときから、かなり『場所』へのこだわりがあり、妙なことに急にある場所が心の中に浮かび上がって来るのです。 実は2歳の時に引っ越しているのですが、何故か幼稚園時代にいつも描いていたのが、2歳まで住んでいた小高い丘に建つ家やその周囲の光景ばかり。
I :幼稚園児は、よくお花とか電車やお母さんを描きます。それは?

M:描きませんでした。 もう、丘の光景ばかり! だから、幼稚園の先生からは不思議な子どもに見えたでしょうね。
I :よほど、ご自分の『場所』の印象が強いのですね。

M:今回も特定の場所を意識して描いた展示作品がかなりあります。
I :そうした幼少期を過ごし、本格的に絵に取り組み始めるのは?

宮島永太良2

M:小学校時代から図工や美術の成績が良かったので、何となくその方向に進むのかなと考えていました。 油絵を初めて描いたのが、高校一年生。その後、デザイン方面に興味を持ちましたが、大学では美術史や美学を専攻しました。
I :実技ではなく、学問分野ですね。
M:そうです。実際に描いていましたが、当時出会った現代美術にかなり刺激を受けました。 それまでにもピカソ等の変わった作品があることは知っていましたが、格別意識したことはありませんでした。 しかし、あるとき美術史の本を読み『20世紀の抽象絵画』としてカンデンスキーやミロを知りました。 最初は『これが絵?』と、抵抗を感じましたが、見ているうちに好きになって行きました(笑)。

I :そこから方向性が…
M:その流れからルチオ・フォンタナやマーク・ロスコに接し、ドンドン引き込まれ、自分でも真似して描き始めて現在に至っています。 だから、自由な気持ちで抽象・具象表現に捕われることなく制作して来ました。

I :その思いは展示作品からも見受けられますね。
M:ありがとうございます。ところで、今回の個展は上海帰国記念と位置付けられているので、そのことにも触れたいと思います。

伊藤晴美さんと展示作品

I :お願いします。
M:今春の個展『異空間からのメッセージ』を開催した上海美術館は、歴史的にも古くて展示会場はとても天井が高くて広く、もっと詰めれば良かったと思います。

I :展示の間隔ですか?
M:いいえ、実際面ではなく作品内容についてです。 そのとき展示した大きな作品は最大400号でした。 内容的には、これまで描いて来た抽象と具象の間の延長線だったのですが、かつて美術史や美学から学んだ空間そのものを変化させてしまう作品が出せれば良かったのですが……。 でも、これは一般的な分類ではありませんね。 ただ、自分の中では、この丸善さんの個展会場にあるような小さな絵はあくまでも自分の記憶や思い出から生まれ、表現可能となった作品です。 それに対して大きな絵は小型の建築物を彷彿させました。 だから、その域まで行き、もっと内容を詰めれば良かったのかなと考えました。
I :確か、4月と9月に上海で二度個展を開催されたのですね。秋の上海オペラハウス画廊も含めていかがでしたか?

トークライブ会場内

M:春秋の個展で展示した作品はほぼ同じでした。 春は一万人の観客を動員しましたが、行楽地を訪れる感覚で個展会場へ来てくれたのは嬉しかった。 そこで、パチリと記念写真撮影! 絵画を見る姿勢に中国を感じました。 また、秋は、リピートの意味と慈善のために作品販売を行いましたが、その結果も皆様のお陰で上々。 色々ありましたが、とても有意義な異国体験でした。
I :大作以外、上海の展示作品についても教えてください。
M:立体も含めて約100点を展示しましたが、最新作から10年ぐらい遡った作品まであり、ここ10年間の自分の卒業アルバムを見ているようでした。
I :10年前の写真を見ると私なら恥ずかしいけれど、どうでしたか?

M:恥ずかしいと言うより、思い出を見ている楽しさがあり、色々なシーンが蘇りました。 ですから、今回の丸善さんの個展も上海同様の思いを込めた新作から、懐かしい旧作まで展示しています。 作品個々に思いがありますので、質問があれば何時でもお答えします。 また、今回も売り上げの一部を横浜の『訪問の家』に寄付させていただきます。
I :
今年は宮島さんにとって大小の個展を含めて飛躍の年だったわけですが、違う分野へも絵画で貢献をしたと聞いていますが?

M:版画はここに展示中ですが、原画を10数枚、大阪大学附属病院に納入しました。 それがメンタル面で病院のお役にたてれば何よりです。実際、絵に関連した効果があれば、その内容を教えていただくことにもなっています。

マルタの掲示板

I :それ以外に?
M:現在の地球環境への警鐘を鳴らす意味での制作も続けて行きたいと思います。 今回のポスターと案内状に使ったふたつの作品‘Living’と‘Warning’は自然との共生がテーマです。地球のことは常に考えて行きたいです。 それから、10月から千葉テレビの番組『アート夢ぽけっと』で、私が原案を考えた『マルタの冒険』と言うアニメーションが始まりました。 主人公は可愛いウサギのマルタ。 彼は、これからあらゆる場所に出没して活躍します。 暖かく見守っていただければと幸いです。今後とも、どうぞ宜しくお願いいたします。

I :
今夜はお話をありがとうございました♪

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