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菱沼美香さんと「現代アート」を語る!


菱沼美香さんと宮島

◎菱沼美香(ひしぬまみか)さんプロフィール

菱沼美香さんspace
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美術家。
10月9日東京生まれ、A型。
女子美術大学卒業。
Blog :
http://ameblo.jp/misroutraki ►
facebook :
https://www.facebook.com/mika.hishinuma.1 ►

 

菱沼美香さんと宮島永太良が「アートの本質」を語る!

5月下旬、宮島永太良はかねてから親交のある美術家の菱沼美香さんと銀座のトラットリアマルタで「Girly 2014」、「現代アート」について語り合った。

宮島永太良(以後・M):
美香さんとは、以前からアートを軸にして色々なことを話し合っていますが、今日もその感じでお付き合いいただければと思います。  ところで、間もなく始まる「Girly 2014」に出展する作品の制作は、どのような気持ち進めていますか?
菱沼美香さん(以後・H):
元々、絵を描き始めた動機は、私自身、女の子が大好きで「女性は宇宙」と考えるぐらいの女性崇拝者。  また、これまでの経験や周囲を見渡しても、とにかく美しい女性は人生が波瀾万丈なので、私は目も気持ちも外せません。  加えて、美術家は美しいモノを好み、男女共に性を越え魅力ある対象に惹かれ続けるので、それが表現の元かな。

菱沼美香さん

M :多分、その傾向は男性より女性の方が強いと思う。
H :そうですね。  一般論でも同性への憧れ、つまり同性愛的感覚は、女性が男性の上回ると聞きます。

M :では、そうした感情をベースに作品制作をしているのですね。
H :う〜ん、そうかも。  ただ、今回の「Girly 2014」展は森下泰輔さんの企画。  だから、女子高校生姿にコスプレした私を、森下さんが撮影した写真も展示されるので、それがどういう意味を持つのか自分でも整理するのが難しいです。

M :美香さんが描いた作品と一緒に、作者自身がコスプレしてモデルになった写真も展示されるとは、興味深いですね。
H :協力Art Lab TOKYOって感じ。

M :ボクも以前、女性にコスプレをしてもらい撮影したことがあるけれど、顔を写すと、その人の写真になってしまうので体だけを撮りました。
H :その評価はどうでしたか?

M :「普段の絵とは全然違う」と言われましたが、自分としては同じ感覚だった。  ボクが作品に描くのは精神(=魂)のパートで、コスプレした女性を撮ったのは、肉体を写真でよりリアルに表現したかったからです。  でも気が付けば、美香さんとは、またアートにおける「精神と肉体」のお話。  
これが必然(笑)。
H :以前もお伝えしましたが、宮島さんの作品からは宇宙、カルマ、輪廻、心象風景と言った仏教哲学が含まれていると感じます。  だから、そのコスプレ写真を考えると、普段はあまり見えない宮島さんのエロスが垣間見える気がして面白く、極論かもしれませんが、普遍的な芸術のテーマ「精神と肉体」を示している感じがします。

M :そうですね。  ボクの意見だけど、肉体が求める欲望、性欲、食欲、名誉欲はこの世でしか叶えられず、あの世に逝ったら無くなるモノで、それらに固執するアートは、生きた証を残したいと考えているんじゃないかと思う。
H :確かに。  それと比べて精神が求めるのは、「善と真実」。  ギリシャ哲学的に考えれば「真善美」になるけれど、それに到達するには肉体を通過しないと行けない。

M :でも、通過しようと思っても厄介なことに撥ね付けるのが肉体。
H :私の描くテーマ「女性美」には、「セクシュアル」「セクシー」が加味されています。  何故なら、それらは弱肉強食の肉体的人生を考える上で「強者」の存在になり得るからです。  だけど、欲望はなかなか克服できないから、宮島さんが描くような精神世界との間で葛藤が生まれる。  でも、それが人生だと思う。

M :いかにその欲望と戦うのか。  そして、人が生まれる前と死んだ後に行く所が同じだったら、そこにいた時のことをどれだけ忘れないでいられるかが、最大の課題。  そして、それを邪魔するのがセクシュアルやエロス。
H :絶対そうだし、現世を生きるには、エロスや悪を知らないと生きていけない。  だから、そこで凄い葛藤が生まれる。  結局、清濁併せ持つしかなく、それを表現するのが現代アートの使命だと思います。

菱沼美香さんと宮島

M :最近のアートのエロス的分野を考えると、また*会田誠さんが目立ち、作品群から過激な表現を感じさせてくれます。
H :会田さんが最初にブレークしたのは何時頃?

M :15年ぐらい前かな。
H :当時は、「援交」が問題にもなった超女子高生ブームのまっただ中だったから、会田さんの少女を描く作風が時流に乗ったのかもしれません。

M :ある一面、それも考えられるけれど、これから「Girly 2014」等の活動でArt Lab TOKYO に注目が集まると、エロス的分野がより活発になる気がする。  それで最近、森下さんに注目しているボクも影響を受けるかもしれない。
H :でも、エロスは宮島さんと縁がない気がします。

M :それは相対的な評価だから、ボクは分からないけれど、自分ではマトモじゃないと思うことがありますよ(笑)。
H :確かに現代アートには「変態」と言うコンセプトが入り込んで来ている。

M :それは事実で前から感じていた。  実際、ボクがアートをやろうと思った時、変態的な作品を見て「こんなことをしても良いんだ」と、勇気づけられもしました。  あれは独特の感覚。
H :作品が美しくても醜くてもどんなカタチであれ、人の心を開放して夢を与えるのが、アーチストの役目だと思う。  それを踏まえて考えると、アーチストは、ある意味で「人身御供」かもしれませんね。

M :確かに。
H :でも、宮島さんは実績や自分の島があるから良いと思いますよ。

M :そう言ってもらえるのは嬉しいけれど、このままでは広がりがなくなってしまうから、やはり次に挑みたいです。
H :これまで、ふたりで話してきたことを考えると、宮島さんは、やはり肉体的欲望を満たす肉人(にくじん)ではなく、精神の充足を求める魂人(たましいじん)ですね(笑)。

M :だから、たまに本道から外れてみたくなるのかもしれません。  いつも、美香さんとの話は尽きませんが、今日はこの辺で、終わりにしましょう。  どうもありがとうございました。

菱沼美香さん作品

*会田誠さん詳しくは→ http://ja.wikipedia.org/wiki/会田誠 ► へアクセス! 

(文・写真 関 幸貴)
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