Story : 詩と作品
連載第18回 めざす楽園は…
新たな出会いに心を踊らさずにはいられない
新しい朝を迎える中、
あてのない旅を続ける古い帆船は、
ある陸地に流れついた。
ずっと海ばかり見続けていたが、
こうした新たな地に着くと、
思いがけない光景に出会うものだ。
見たことはあるはずなのだが、
初めて目にするような草花、
初めて目にするような動物たちの姿がある。
懐かしい人間たちの姿もある。
自分はしばらくここに
留まることになるのだろうか。
しかし自分のことを追ってくる者が
あるような気がしてならない。
その姿はまだ見えないが、
きっと自分を必要としている誰かであろう。
そういう誰かがいるのなら、
しばらく待ってみてもいいではないか。
一人きりの旅をしてきたつもりだが、
追って来る者の存在に気がつけば、
新たな出会いに心を踊らさずにはいられない。
めざす楽園はまだ遠いが、
ともに歩んで行ける日が来るであろう。
「異空間SAIL」
宮島永太良