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宮島永太良が振り返る上海(後編)

4月2日から会期10日間で1万人以上の観客を集めた上海美術館での宮島永太良チャリティー個展〜異空間からのメッセージ〜♪
大成功に終わった経緯を上海に同行取材した写真家の関幸貴が、帰国後、宮島永太良に聞いた。

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◎宮島永太良との対談 Q&A

西湖にて

Q:では、どんな心理状態だったのですか?
A:2010年春、個展開催のために09年10月頃が作品制作の最終締切り。 そのリミットぎりぎりまで筆を持っていたので、もっと描き込みたいと、言う願望が残りました。 ただし、この経験で『絵』について大切なことを再認識しました。

Q:再認識?
A:一例ですが、緻密で素晴らしい油絵を描く私の友人がいます。 あるとき、彼の個展会場で仲間と一緒に『緻密な描写が凄い』と、感想を伝えたのですが、返事はさりげなく『個展が終わったら、また描き足す』の一言。
当時は理解できませんでしたが、今回200〜400号の大きな作品を 描いたことで、彼の言葉を自分なりに咀嚼できるようになりました。
制作に終わりはなく『絵』を描いている限り続き、作品発表も同様で全てが、繋がっていることだと、自分自身で再認識できました。

西湖にて2

Q:きつい状況だったからこそ、『絵』についての再認識できたのですね。
A:そうかもしれません。振り返れば貴重な時間でした。

Q:では、次に上海美術館での発表作品ついて教えてください。
A:展示作品は、絵画と複数構成の立体物で約100点でした。

移動中!

Q:どのように作品を選びましたか?
A:私の意見をベースに上海美術館のキュレーターの肖小蘭さんが大筋を決め、上海美術協会秘書長の陳先生がオブザーバーとして立ち会い、09年11月に日本で200点以上の中から選びました。

到着

Q:選択時と個展会場で展示された作品を見ての感想をお願いします。
A:自分なら決して並べない作品、展示を全く考えなかった作品が選ばれたときは、驚きましたが、会場で見ると予想以上に違和感はありませんでした。

Q:具体的には?
A:例えば、峠三吉さんの『原爆詩集』をモチーフにした作品とお正月をテーマにした全くイメージの違う作品が隣同士に並び、即興的なライブペインティングの2作品が『勢いが良い』と選ばれましたが、こんな展示方法も可能だとわかり、新鮮な衝撃を受けました。

蘇州の本色美術館

Q:正に異世界との出会い?

A:そうですね。自作品のお陰で異世界の扉を開けられたようです(笑)。

Q:中国・上海の観客についてはいかがでしたか?
A:観客が1万人を超えたことには心から感謝です。会期中、数回訪ねましたが、日本に比べて、上海では10〜20代女性を中心に若い世代や子ども連れが多かったですね。 そして、皆が作品の前で記念写真を撮影、明るくて行動的な様子がとても印象的で、鑑賞スタイルの違いにお国柄を感じました。

Q:今秋、上海オペラハウス画廊で再び個展ですが?

本色美術館にて

A:展示作品、点数は今春と同じものを予定しています。ただし、9月はチャリティーのため5日間、展示作品(一部を除く)を販売。その売上げの一部を上海慈善基金に寄付する方向です。

休憩

Q:上海後の目標は?
A:帰国展を10月末から一週間、日本橋の丸善ギャラリーで開催します。 その他にも、神奈川県厚木のカフェからも絵と原稿を展示したいとユニークな依頼や詩画集の出版の構想もあります。 その流れと一致すると思いますが、これからは制作に関しては幅を広げて行きたいですね。  ただ単に絵を描くのではなく、最近では、社会貢献を念頭に医療関係者と『病に対しての絵、色の効果』をテーマにした共同研究等も計画進行中です。  私の方法で眠っている『絵』の可能性をできる限り掘り起こしたいですね。

関幸貴

今日は、貴重な時間をありがとうございました。 



インタビューアー関幸貴

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