☆ 名言迷路 卍 迷言名路 ☆ 文 宮島永太良
このページでは、私が今までに聞いて興味をもったワンフレーズを紹介し、
それを考察しようというものです。
史上言い継がれてきた諺、偉人の言葉から、
著者の周り近所の人が発した言葉まで様々ですが、どれもこの世の中に暮らす人にとって、
何らかのヒントになるのではないかというものを挙げています。
〇 聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥
よく「お前そんなことも知らないのかよ」という言葉を耳にすることがある。
でもそれを言っている人は、生まれた時から全ての物事を知っていたのだろうか。
この言葉は、それぞれの分野で、知識の多い人から少ない人へ捧げられることが多いが、
人を見る場合「知識の量」がそんなに大きなポイントなのだろうか。
もちろん、ある程度の知識を要求される人、たとえば専門職の人などが、最低限のことを知っていなければ、周囲の人たちが困ったり不安になったり、ということはあるだろう。
確かに知識や知恵はあるに越したことはない。しかし、相手が何かを知らないことを軽蔑する、ということは、あまり知的な行動ではないといえるだろう。
そうは言っても「これを今更聞いては恥ずかしいのではないか」「わからないけど、わかったふりをしておこう」という思いは、私も含め、多くの人に経験があるかと思う。
どうしても「お前そんなことも知らないのかよ」と言われることを恐れてしまうのである。
しかし日々自分に必要な知識をつけようと勤めていれば、そんな怖さは消えるのではないだろうか。
人にものを尋ねた場合「あなたは知らないことだらけだね」と思われるのと「あなたでも知らないことがあるんですか」と思われるのでは、意味合いが違ってくるのだから。
知識を物に喩えれば、物々交換のようなもので、自分の知らない何かを知っている人というのは、意外に自分の知っていることを知らなかったりする。
ある評論家の著書の中にも「自分が情報源になることは、逆に多くの情報を手に入れることにつながる」ということが書いてあった。
知らないことが恥ずかしい、という思いは、持つべきだと思う。 しかし、どうしてもわからないことは人に聞くしかない。
それは相手も同じなのだ。 同じなのだからこそ、その人がもともと持っている知識を尊重することが重要だろう。 どんな世界で「give and take」が大事だ。
人から知らないことを教えてもらえる、ということは、自分も何かを教えてあげられる喜びとイコールかもしれない。
「一時の恥」を勇気を持って克服すれば「一生の恥」は打ち消されるのである。