Story : 詩と作品
連載56回 ねずみ色…
ねずみ色の地面
夏の空のもと、思い切り暑い空気が、今日も照り上げてくる。
一面グレーの地面は、まるで平面ストーブのよう。
裸足で歩けば火傷しそうだ。
思いおこせば街はアスファルトで敷き詰められてしまっていた。
そんな上にも散った花、落ちた葉は、
行き場のないまま、誰かにはかれるのを待っている。
土に帰るという言葉は、街中では聞こえなくなってしまった。
巡り巡って遠い山の中で、かすかに土への帰還をめざす。
しかしいつかグレーの地面は裂け、
補修する者もなくなり、アスファルトすら土に帰っていく。
そんな時も来るのだろうか。
「無題」
宮島永太良