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東京国立競技場周辺

波瀾万丈の東京オリンピックが開催中の8月上旬、宮島永太良はそのメイン舞台でもある東京国立競技場周辺を訪れた。

東京国立競技場

出発は青山一丁目駅周辺から。この場所は以前から、宮島永太良に馴染の場所だった。
「6年ほど前まで、この駅の近くに住んでいたことがありました。しかし青山一丁目という地名はなく、実際には北青山一丁目と南青山一丁目の間にあることから付けられたと駅名聞いています」。確かに地図上には「青山一丁目」という地名はない。また宮島が住んでいたのは、番地としては赤坂だったそうで、「青山一丁目に住んでいた」という一言の中にも様々な矛盾があったようだ。

青山一丁目駅

また、この駅の近くにはドイツ文化会館があり、その中のドイツ料理レストラン「マールツァイト」は宮島も今年2021年の2月、3月に個展を開催した店だ。この期間も、宮島のアートフレンド・原雅彦さんが個展中なので覗いてみた。

ドイツ文化会館

今回は、「異邦展」という名のもと、トルコ、ドイツ、スイス、ニュージーランド、ハワイ、ニューカレドニアなどの海外の風景に、唯一日本の富士山を加えた展示内容で、原さん独特の横長の画面はもとより、縦型の風景も数点あるのが印象的だ。なお原雅彦さんのこの展示については「TALK」のページでも取り上げているので参照されたい。このマールツァイトではこれまでも、大野愛さん、金伊雪さん、関大介さん、関幸貴さん、K.Ozawaさん、シモン都霞さん、万城目純さんら、月刊宮島永太良通信でもお馴染みの面々が個展を行っている。

ドイツ料理レストラン「マールツァイト」にて

この文化会館の青山通りをまたいだ向かいは赤坂御用地がある。江戸時代に紀州徳川家の上屋敷があった場所で、明治維新後に皇室に献上。現在は秋篠宮邸、三笠宮邸、高円宮邸など、各皇室邸宅が連ねている。

赤坂御用地

赤坂御用地の近く、外苑東通りをさらに北上すると、また宮島に関係の深いアートコンプレックスセンター(ACT)がある。エイジングされた西洋館のような建物の中に、5つのギャラリーがあり、主に若手アーティストの発表の場として好評を得ている。宮島も過去3回の個展と、グループ展も多数参加している。今回は「プロレスウィーク」ということで、プロレスにまつわるアート作品が各会場に展示されていた。絵画、イラスト、写真からTシャツ等のグッズにいたるまで、全てがプロレスをテーマにしていて興味深い。オリンピック日本勢はレスリングも好調のようだが、そんな原動力を近くからアートの力で支えているようでもあった。

アートコンプレックスセンター(ACT)

「ACTに行く人は、たいてい信濃町か四谷三丁目駅から外苑東通りを通って来る人がほとんどだと思いますが、私はあえて裏道、それも国立競技場駅から裏道を通って行くのが好きなんです」。この知られざる裏道を今回も帰りに通ってみた。国立競技場駅からACTの間には、慶應義塾大学病院があり、病院とは言え、その病棟はどこかエキゾチックな感じを醸し出している。そしてここの7階小児科待合室には宮島永太良のマルタの作品も展示されている。尤もそれより前に、宮島はこの病院で娘を授かっているのもまた縁だ。

プロレス作品と慶應病院

そしてJR総武線・中央線を下に見る小さな橋をわたると、新しくできた公園を経て、件の国立競技場が見えて来る。まさに今、そこで2020(実際は2021)オリンピック東京大会が行われているのだ。

国立競技場

今回のオリンピックは、新型コロナウィルス感染拡大の影響で、異例の一年延長となり、さらに今年に入ってからも、直前まで開催するかしないかで意見が割れる等、波乱万丈の大会となった。そして結果的には無観客開催と、これも異例の形での開催である。
「オリンピックを開催すれば、海外からの人の行き来も盛んになり感染の危険も高くなるので、私も開催賛成派ではありませんでした」。以前「オリンピックを行なえば選手村がダイヤモンドプリンセス号と同じ状況になるのでは」と懸念していた知人もいたそうだ。「しかしながら、テレビの開会式の中継でオリンピック会場の航空映像から、東京のなじみの夜景が見えた時『ついにこの時が来た!』と思ったのは確かでした」。

国立競技場

開催による感染拡大が不安な一方、アスリートたちが我が国で大活躍する姿を見れば、応援と感動の気持ちでいっぱいになるのも人の心。複雑な心境の人はさぞ多いことと思う。
国立競技場の周囲は、どこも厳重な警備がなされ、中に入ることなど不可能。しかし通行許可証のようなものを見せて中に入って行く海外の若者の姿もあったが、もしかしたら選手だったのかもしれない。

国立競技場

外苑前駅から神宮球場を越えた先には競技場の入り口があり、中には入れないながら多くの人々が詰めかけていた。「密」状態であることは否定できない。やはり居ても立ってもいられない人たちも多いのだろう。みな立体五輪マークの前で写真を撮る順番を待っている。

国立競技場

「新型コロナ等なければ、この人混みは今ごろ東京全般、日本全般にまでおよび、各地も大いに盛り上がっていたことでしょう。しかし自然の流れはそれを許しませんでした。ある意味、今回の東京五輪は、今までとは違ったスポーツ観戦の、またイベントのあり方を試されているのかもしれません」。
異例だらけのオリンピックではあるが、アスリートの皆さんが全力を尽くしてくれることを祈るばかりだ。そして8月24日からはパラリンピック東京大会が予定されている。こちらも開催すると決まった以上は、参加選手の健闘を何よりも期待したい。

(文・写真 宮島永太良)

 
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