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連載62回 マルタの冒険〜描いてみよう

マルタの冒険〜描いてみよう

 
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絵を描くことが大好きなマルタは、
今日も画用紙とクレヨンを持って、
スケッチするものをいろいろ探しています。

「珍しい花があった」
花の前にすわったマルタは、
一所懸命形と色を観察しましたが、
気がつけば一時間もたっていました。
花は赤ですが、「黄色も使いたい」「青も使いたい」
「そうだ!黄色と青は、混ぜて葉っぱの緑にしよう」
ようやくまた一時間かけて花を描きあげたました。

すると一台の車が止まっていました。
「この車カッコいいな」と思いながら、
また描きはじめましたが、
いつの間にか運転手が来て走って行ってしまいました。

やがてモンキチとトムもスケッチに加わりました。
バナナが好きなモンキチは、
何を描いても黄色になってしまいます。
サッカー好きのトムは、
何を描いてもコロコロと転がっていきそう。

あれこれ探しているうちに、日が暮れてきました。
空は綺麗な夕焼けに染まっています。
「あの夕焼けの色って素敵だな。どんな色だろう」
オレンジのようなピンクのような、
かといってどちらでもない、
いつも見ているはずが、よく見ると不思議な色です。
「あの夕焼けを描いてみないか?」とマルタが言いますが、
「あれは難しすぎるよ。それよりもうお腹がすいたから帰るよ」
「マルタ、描くならがんばれよ!」
二人は帰って行きました。

「難しい」 その言葉でマルタはさらに描きたくなりました。
「よし、うまく描けなくてもいいからやってみよう!」
マルタと夕焼けの、長い対話が始まりました。



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    「マルタの冒険〜描いてみよう」
 

宮島永太良

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