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シモン都霞さんと宮島永太良がコロナ禍を語り合った!

シモン都霞さんと宮島永太良


◇シモン都霞(とか)さんプロフィール
アーティスト 横浜在住
1960年:熊本県熊本市生まれ
1983年:和光大学人文学部芸術学科卒業
1988年:銀座ギャラリー・オカベで初個展 
1998年:新潟県(株)福田組「感動創造美術展」で優秀賞を受賞
以後も個展開催、グループ展にも多数参加 
2021年は、6回の個展を開催予定
Meets Art Clubメンバー

 

コロナ禍でのアートの役割とは?


宮島永太良
(以後M):今日はよろしくお願いします。世界的なコロナウィルス感染症の蔓延で、これまでの日常生活が一変してから既に1年以上が過ぎました。その間、私は蔓延防止を軸に自分なりに考え、作品制作も含めて様々な行動してきましたが、今年になっての変異種の出現でまた状況が変わり、先が読めませんね。
シモン都霞さん(以後S):確かにコロナ禍以前とは全く違う世界になりました。そうした中で宮ちゃん(=宮島永太良)は社会的問題、対コロナの立場でかなり動いているけれど、昔からその姿勢なのかな?

シモン都霞さん

M:そうですね。使命感とは少し違うけれど、いつも人の役に立ちたいと思い、それもアートで何かできないかと考えています。その流れで今回もSNSを含めて自分にできることをしました。また、コロナを含めた感染症のことを子どもたちにとって理解しやすい企画を考え、2人のお医者さんから色々な話を聴いているけれど、状況が変化し過ぎているので、現時点でその企画は凍結しています。ところで、シモンさんはどうコロナ禍を過ごしていますか?
S:変わらずに描いていますよ。で、去年8月にはパステルを覚え、ギッフェリCafeでも観てもらった様な作品の描いていますが、さっきも宮ちゃんが言ったようにアートで何ができるのかなって日常的に考えながら筆を進めています。

M:では、アートで何ができると思いますか?
S:平時なら作品を観てもらうことで皆の心を和ませるとか、癒しを与えるとかを考えているけれど、現状はコロナウィルスに対する戦いとも言えますね。一見カラフルで明るい平和そうな私の作品だけど、意識としてはコロナと戦っているつもりで描いています。ここのところの感染者の増え方を見ていると、敵は相当強いと分かます。だから、優しい雰囲気の絵を描きながら、実は筆を持っている自分の中には凄まじい葛藤が起こっていて、そのまま表現してしまうと、不条理の世界に行ってしまうからかなり自己制御をしているつもりです。だって、伝染病は自然の不条理、ミャンマーも含めて戦争は人間が作り出した不条理。不条理の時に不条理を人に提示しても益々イヤになるだけだし、心の中では葛藤しているんだけれど、表現としては清々しさや優しさを見せたいから、自意識と表現の間に意味がすごくあると思います。

シモン都霞さんと宮島永太良

M:シモンさんの話を聴いていると、アートのテーマは常に時代と共に存在すると考えられますね。現在なら「コロナとの戦い」も一つで、シモンさんの戦いの成果が作品となり、それを観る人は知らないうちに癒しになっているのかもしれない。
S:コロナ禍、ホンの一瞬でも厳しい現実を忘れてもらえれば良いと思います。

M:そう考えると出来上がった作品には、アーティストの大切な気持ちが集約されているのですね。
S:だけど、内心の葛藤を作品に出さないようにするのはなかなか難しい。ギッフェリでは障害者の方が働いているし、私自身もそうだから、作品を観て癒しの気持ちが広がれば良いと思っている。本当に絵でできるってそれぐらいしかないと思います。だから2021年は頑張って6回個展を行い、今年の12月31日にどれぐらい充足感が得られるのか楽しみです(笑)。

シモン都霞さんの作品

M:シモンさん、今年はとても挑戦的ですね。あと視点を変えると、今はアーティストにとって、これまでにない表現や創作の新しいテーマが出てきたのだとも考えられますね。
S:まさに私も葛藤の連続です。

M:私も経験ありませんが、最近マスク姿で通園通学している幼い子どもたちを見ていると、成長してから彼らにどんな影響が出てくるのか心配になります。まぁ、この流れで新しい生活様式に移るのかもしれませんが…
S:間違いなく今は平穏な時代ではありません。人の心も蝕まれ、コロナ禍で自殺者が増えたそうです。だからこそ、人々の健全な心を守るためにも描きたいです。ただ、こうした毒の蔓延する時代だと毒を含んだテーマを作品を発表するのはなかなか難しいと思います。でも、アート表現する上で毒は忘れてはならないテーマだと思いますね。

シモン都霞さんと宮島永太良

M:これまでシモンさんと話してきて、自分自身で合点が入ったことがあります。去年の春頃、既にコロナ禍でしたが描こうと思っても、普通とは違い描けませんでした。私の場合は戦っているとなかなか描けないのかもしれません。
S:人によって違いはあると思いますが、それぞれがコロナと戦っているんだと思います。

M:でも、1年経って戦い方が少し見えてきたのかもしれない(笑)。
S:ある程度、相手の様子が分かってきたし、それぞれのやり方で方法を模索しながら行動するのが最善かもしれません。

シモン都霞さん個展会場にて

M:最後になりますが、コロナ禍で問われているのはアーティストにとっての制作面だけではなく、美術館やギャラリーなど作品発表の場も変わらざる得ないでしょうね。
S:最近はギャラリーで作品展示だけではなく、既にオンラインでの展示も一般的になってきています。つまり直接観るだけではなく、これからはネットでの展示がより重要な作品発表の場になりえると言えるのかもしれません。コロナ禍によって、アート表現の世界も新たな段階に進まざる得ないのでしょうね。

M:それは、コロナウィルスによってもたらされたアートの大きな変革と言えるかもしれません。今日はどうもありがとうございました。次の個展も楽しみにしています。

 

おわり

(構成・撮影 世紀工房)

 
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