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舎人公園

今回訪れたのは、都心の中でもゆったりとした旅行気分を味わえる足立区の舎人公園。コロナ万延防止で、引き続き「三密」が避けられる状況の中、青空の下の広大な公園は、行楽には最適な場所と言えるだろう。

舎人公園駅

足立区といえば、東京の中でも下町のイメージがあった。下町というと、その昔は家と家の間が狭く、窓越しに隣人と会話する、もしくはおすそ分けもする、などという話も聞いたが、今はそうした所も少なくなっているだろう。この足立区・舎人公園の周辺も、むしろ閑静な住宅街といってもいいくらいだ。

舎人公園駅周辺

この公園に来るには日暮里駅から出ている「日暮里・舎人ライナー」が便利で、日暮里駅からおよそ15分前後で到着する。2008年に開通した新しいモノレールであり、鉄道そのものも近代的であり、周りの街並みもベッドタウンという印象だ。そんな沿線の中には、隅田川、荒川を渡る橋があり、また西新井大師の近くを通る場所があるなど、あらためて東京の名所の顔がちらほらと見て取れるのも興味深い。

舎人公園

舎人公園駅より二つ(日暮里から見て)手前に「西新井大師西」という駅があるのだが、この駅名が不思議である。日本語のわからない外国人には理解できなさそうだ。東京都には他に「西東京市」という地名もあるが、このように東西南北の名前が複数入っているのはわかりづらそうだ。英語で「western east capital」のような地名を見て、日本人が目を白黒としてしまうようなものかもしれない。ちなみに昔、どこかにあった「〇〇郵便局」というバス停の英字表記が「〇〇yubinkyoku」となっていたことがあった。これを見た時は誰のための英字表記かと疑問に思った。「〇〇 post office」ではないのか?

舎人公園

公園の前身は、第二次世界大戦の最中である1940年(昭和15年)、防空緑地として確保された場所だという。そのため敷地面積は広大である。現在は、「みどり、水、スポーツ」そして「くつろぎ」の空間と謳われ、その広大な敷地を生かし、陸上競技場、テニスコート、野球場、またキャンプ広場、バーベキュー広場などが充実。公園内の樹木も7000本をこえるというから圧巻だ。近隣の幼稚園や小学校の遠足コースとしてもお馴染みのようだ。そして現在も造成中であり、最終的には69.5ヘクタールにもなるという。

舎人公園

宮島はこの場所に来ると、小学校低学年ころ、家の近くで遊んだ公園を思い出すという。場所は全く違うのに、自然環境の魔法だろうか。また今回、宮島が特に印象に残っているのは、公園東側の敷地にある池だった。ここも故郷を連想するものがあるようだ。

舎人公園の池

「この場所は、私が子供のころ、地元にあった池を思い出させます。その池は『ひょうたん池』といって、もっと小さい池でしたが雰囲気が似ていました。小学校で夏休みの前になると、必ず『行っては行けない場所』として注意が上がっていました。きっと何か危険な理由があったのでしょう。なので最初何年かは全く行ったことがなかったのですが、そうそう毎年『ひょうたん池』と繰り返されると、名前のインパクトも手伝い、どんな場所か気になってしまうのが人間の心理です。そしてある年の夏休みが明けたころ、友達と『ひょうたん池に行ってみよう』ということになりました。夏休みに行ってはいけない所なんだから、夏休み明けならいいだろうという勝手な判断です。今の日本で問題になっている、『夜飲みがだめなら昼飲み』みたいな発想に似ていますが。そして待望の『ひょうたん池』に行ってみると、池の周囲が急斜面で滑りやすくになっていました。行ってはいけない理由がはっきりとわかりました。『百聞は一見にしかず』です。ちなみに名前の由来はわかりませんでしたが、おそらく上から見るとひょうたんのような形をしているのでしょう」。

舎人公園の池

2021年1月から2月にかけ、新型コロナウィルスによる緊急事態宣言が出されたが、このレポート時点ではまだ解除されていない。しかし、必ず解除され、皆が揃って楽しめる時が来るのを信じたいものだ。日本のシャンゼリゼ通りは、その時大活躍してくれるだろうか。

舎人公園の池

そんな少年時代の記憶をよみがえらせてくれる池。ここは斜面もなく、ゆったりと水のマイナスイオンを感じさせてくれる。池から頭を出している水草や水面を漂う鳥たちが、なお、のどかな空気を醸し出してくれる。

運動遊具

この池からしばらく歩くと、たくさんの健康遊具が並んでいる場所がある。よく公園には、申し訳程度に運動できる遊具が2,3設置されている所はあるが、この公園は本格的で、大人用、子供用含め、10以上の運動遊具が存在し、健康増進公園とさえ言ってよい環境である。
「ここの運動遊具の多さにはびっくりしました。デザインや色彩も興味深く、こんな場所でも健康とアートが融合していたんだと、あらためて考えさせられました」。
なるほど、運動器具を使ってみると、あまり普段することのない動きが楽しめる。また、人がやっているのを見ていても楽しい。青空を仰ぎながら体を動かす、まさに健康なひととき。ウイルスを恐れることなく思い切り遊べる時間。早くそうした時空を取り戻したいものだ。

(文・写真 宮島永太良)

 
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