Story : 詩と作品
連載42回 白い家…
ホワイトの時
一あれは不思議な光景だった。
ある田園地帯、点々と並ぶ家々の中に、
幻のように不思議に輝く家が一つ。
白く輝くその家は、この世の景色とは思えなかった。
と同時にとても幸せなたたずまいだった。
その頃、その近くで仕事を始めた者は、
とても不安に満ちていた。
不安の顔が空に浮かんでいた。
「あの家の近所には、目標を達成してから行ってみよう」
しかし目標は意外に早く達成し、
「では次の目標」と、さらに成功した彼は、
いつの日か、白い家のことも忘れ、
さらに広い地へと移っていった。
以前とは全く違う幸せの顔が空に浮かんでいた。
時はたち、大成功した彼は、ふと昔の白い家を思い出し、
かつての地へ急いだ。
白い家はもうなかった。
今までになかったような悲しみの顔が、
初めて空に浮かんだ。
そしてさらに向こうでは、
その姿を見て大笑いしている顔があった。
「ホワイトの時」
宮島永太良