Story : 詩と作品
今号から、宮島永太良の詩と作品を併載した新連載Storyを開始いたします。
これまでと一味違う新たな宮島ワールドを感じていただければ幸いです。
どうぞ、宜しくお願いいたします。
これまでと一味違う新たな宮島ワールドを感じていただければ幸いです。
どうぞ、宜しくお願いいたします。
いつか出会うであろう
楽園をめざして
古い小さな帆船は、航海主もないまま、
たったひとり風に揺れながら、
遥かな大海の果てに来ていた。
自分で航路を決めることはできない彼だが、
太陽と追っかけっこしながら、
いつか出会うであろう楽園を
めざして進んでいく。
昨日の夜は冷え込んだ。
このまま凍りついてしまうのではないかと思うほどに。
でも今、また自分を照らしてくれる太陽と再会し、
暖かく輝く海の上を行く。
新しい世界を照らす太陽は、
見ているだけで楽園を思い浮かべてしまう。
しかし一日たてば、また彼は太陽から離れていく。
いつまでも、いつまでも照らしてくれる太陽。
そんなものを彼はめざすことができるだろうか。
海には、彼が残したさざ波の音だけが、
ただ一つのエールとして鳴り響いていた。
「MOVE」
宮島永太良