制作、展覧会で躍動し続ける渡邊智美さんにインタビューを敢行! 前編
◎渡邊智美(わたなべともみ)さん プロフィール
画家。 8月16日生まれ、獅子座、A型、愛媛県松山市出身。 武蔵野美術大学卒業。 水彩連盟準会員、KSアーティストクラブ代表。 一般財団法人「健康とアートを結ぶ会」支援アーティスト。 作品のテーマは「粒子」、独特の感性で光の世界を表現し続けている。 個展、グループ展多数。 |
渡邊智美さんが幼い頃からを語った♪
月刊宮島永太良通信編集部(以後M):今日はよろしくお願いします。
最初にどんな子ども時代の過ごしたのか、お話ください。
渡邊智美さん(以後W):小学校時代は日焼けして真っ黒、歩いていると男の子に間違えられました。
お転婆で外遊びが多かったけれど、友だちの家へ行き、そこのお父さんに五目並べを教えてもらい、よく遊んでいました。
M :かなり活動的ですね。
W :あまり女の子っぽくはありませんでした。
ママゴトも幼い頃はしていたけれど、小学生ではあまりした記憶はありません。
M :好きだったことは?
W :習い事が好きで公文、ピアノ、書道、英語教室と週4,5日通っていました。
勉強が楽しくて仕方なくて、その中でも算数が一番得意でした。
算数のテストは100点しかとった記憶がないです。
ある時、先生に「この前のテスト、85点だったぞ!」と廊下ですれ違いざま言われて、「私、どこも間違えていませんよ」って即答したら、「なんで分かるんだ」と驚かれたこともあります(笑)。
M :では、小学校時代の夢は?
W :数学者です。
東大に行って数学の勉強をしたいと思っていました。
とにかく数字が好きで魔法陣を作ったり、円周率の計算を延々としてみたり。
数学者には向いていたと思います。
でも、県下でトップクラスの愛媛大学教育学部附属中学校に入学したら、私が解けない問題をスラスラ答えている子がいて衝撃を受けました。
「私より頭の良い人がこんなにいるんだ」と知って、すっかり勉強への熱意が冷めてしまいました。
基本「負けず嫌い」なんですね。
M :それで?
W :愛媛の中学校にこんなに優秀な人がいるのだから、全国にはもっといるだろうと思って東大進学は早々に諦めました。そして中学2年生の頃に夢が変わりました。
M :何を目指したのですか?
W :漫画家です(笑)。
M :漫画家とは、かなりの方向転換ですね。
W :はい、実は小学校の時から絵を描くのが好きで、よく漫画やイラストを描いていました。
それで中学3年生の時には大学は美大に行きたいと考えて、高校は普通科よりデザイン科に進学すべきか悩み、当時の美術担当教諭の渡邊先生に相談したところ、普通科に進んで色々と勉強したうえで、絵の道に進んだ方が人生のプラスになると勧められて、普通科に進学しました。
余談ですが、この時の恩師、渡邊裕公先生は今では絵の大家になり、昨年は日展の洋画部門審査員もされています。
M :漫画の魅力とは?
W :当時は少女コミックの全盛期、私も朝まで漫画を描いていたこともありましたが、高校3年間、絵を学んでいたら絵そのものが面白くなり「画家になりたい!」と志望が変わりました。
M :絵のどこに惹かれたのですか?
W :まず描くことが面白くて仕方がなかったです。
あと、説明が難しいけれど、描いている時に得られ持続する高揚感がたまらなかった。
何て言うか描いていると自分の存在がなくなってトランス状態に陥り、違う世界に行ってしまう感じ。
その感覚を高校2年生の時に初めて味わいました。
M :大学受験は?
W :東京芸術大学、筑波大学(芸術学群)、武蔵野美術大学の3校を受験して、筑波大学と武蔵野美術大学に合格。
悩んだ末に筑波大学は辞退して、武蔵野美術大学に入学しました。
東京芸大に現役合格するには、高校時代に石膏デッサンは200枚、油絵は100枚描かなければいけないと言われていて、石膏デッサンはクリアできたのですが、油絵は60数枚で止まってしましました。
そのせいかどうかは分かりませんが、現役とムサ美(武蔵野美術大学)1年生の時に芸大を受けましたが、良い結果は得られませんでした。
M :やはり受験には積み重ねが大事ですか?
W :そう思います。
枚数を描けば受かる確率は上がると思います。
芸大を2年間受け、毎回一次のデッサンで2,000人から300人には選ばれたけれど、2次の油絵で最後の60人に残れなかったのですから。
M :ムサ美時代は?
W :高校3年間は絵と勉強に費やし、夏休み等の長期休暇は上京して美大予備校に通いました。
1年から3年まで、ずっと絵に明け暮れていたので、その反動は大きく大学4年間は遊びました(笑)。
とはいっても勉強が好きだったので学科は優をとりましたが、実技は1ヶ月の課題を最後の2、3日で仕上げる傾向にあり、それを教授に見抜かれていて、「君は貯金で生きているね」と言われ、「その通り…」だと自覚していました。
実技は好きな時に来て描けば良いので、あまり教室には顔を出しませんでした。
当時は画家になるという目標を見失っていたのだと思います。
M :大学以外での生活は?
W :美大生になったとたん、在宅でできる赤ペン先生、塾講師、建築模型作りから居酒屋まで様々なアルバイトをしました。
その稼いだお金で大学2年生の時にはYAMAHA TZR 125ccのバイクを買ったのですが、倒れたら自分で起こせなくて走行距離100キロか200キロで売ってしまいました(笑)。
実はバイクを起こす試験、試験官のミスで受けてないんです。
だからいまだにバイクはちゃんと起こせません。
M :大学卒業後は?
W :卒業前年の11月頃、トレンドリサーチ会社の社員採用の内定をもらっていたのですが、2月に当時流行りの内定取り消しにあってしまいました。
M :大変でしたね。
それでどうしたのですか?
W :ちょうど新聞広告で直木賞作家志茂田景樹事務所のスタッフ募集の記事を見かけたので、応募したら同じ作家(小説家とアーティスト)同士で気が合うかもと面接された奥様が私を気に入ってくださり、採用されました。
そして奥様の予想通り先生とは気が合いまして(笑)その後マネージャーにも昇格し、4年半勤務させていただきました。
M :就職した頃、作品制作していましたか?
W :時々描いて、仲間とのグループ展に参加していましたが、そのうち仕事が忙しくて描かなくなりました。
その後、結婚をして志茂田事務所を辞め、デジタルハリウッドに約1年通ったのですが、その頃からほとんど絵を描かなくなりました。
大卒後5〜6年で、自然に絵から遠ざかった気がします。
次号に続く…
◇ 渡邊智美さん展覧会情報
●「絵と器の風景」 柚木 寿雄 & 渡邊智美 二人展
10月9日(火)〜15日(日):三省堂書店神保町本店
●波多野安希&渡邊智美 二人展
11月19日(月)〜24日(土):銀座K'sギャラリーan
●KSAC ART FESTA 2018
12月1日(土)〜16日(日):Gallery 21 (ホテル グランドニッコー東京 台場)
●KSAC X'masアートギフト2018展
12月20日(木)〜25日(火):銀座G2ギャラリー
●個展
2019年2月18日(月)〜22日(土):銀座GALLERY ART POINT-biz