TOPTalk : 対談

野村おさむさんと河田為雄さんによる
- tvkの天気予報「マルタとおどろう」- の良い話 ♪ 前編

 

◇プロフィール
野村おさむさん:1965年生まれ 姉弟Jazzユニット サファリパークDuo の父親
河田為雄さん :1948年生まれ 元東芝EMIミキサー

 

tvkで放送中の天気予報「マルタとおどろう」がこの5月にリニューアルされたばかり。その立役者となったのが、比嘉美由樹さん率いるスティールパンのパンノウタ楽団と、サファリパークDuoの野村琴音さんであることは言うまでもないが、今回は画面に登場していない立役者に注目しようと思う。サファリパークDuoのお父さんこと野村おさむさんと、今回の音楽のレコーディングを担当した河田為雄さんだ。

 

*左から河田為雄さん、野村琴音さん、野村おさむさん

 

これまでマルタとサファリパークDuo(以下サファリ)とのコラボ天気予報は、都合3作制作されている。(マルタの天気予報としては4作) どれも横浜・大桟橋で撮影されているが、最初のものはマルタ単独のダンスバージョンだったので、これはNo.0としよう。No.1で初めてサファリと組むことになるが、これは2018年に撮影され、琴音さん20歳、弟の郷詩さん15歳の時だった。二人の演奏に合わせ、横でマルタがダンスする姿が懐かしい。
No.2は2020年初頭の撮影。コロナ禍が蔓延する寸前であり、遠くに「ダイヤモンドプリンセスの姿が望めるのは貴重な映像だろう。またこの時から、キッズダンサーズ参加し、出演者も多くなった。
そして今年2023年、秋に25歳を迎える琴音さんが再び新撮影に加わり、現在に至っているNo.3。(郷詩さんは学業のため休業中) スティールパン演奏のパンノウタ楽団11名も参加し、一気に出演者が増えた。

 

おさむさんは常に録音にかかわっていたが、この時、スティールパンという珍しい楽器をどう録音しようか考えた時、「タメさんに頼んでみよう」とひらめいたそうだ。おさむさんが「タメさん」と呼ぶ人こそ、レコーディング界の重鎮・河田為雄さんだった。
このお二人、実は以前から音楽を通じた交流があった。と言えばよくある話だが、宮島もその話を楽しみにしていた。しかし、なんと二人を結び付けたのも琴音さんだというから意外だ。その縁は映画「スウィングガールズ」にある。ご存じ「スウィングガールズ」は、矢口史靖監督により、山形の高校生ジャズバンドの映画で、2004年に公開されている。この映画の舞台になった山形県東置賜郡川西町では、毎年映画を記念した「東北学生音楽祭」が開催されており、2009年度の会では、数年前にデビューしたガールズジャズバンド「東京ブラススタイル」がステージ参加した。アニメソングをジャズ風にアレンジし、演奏するバンドだが、このバンドに早くから注目し、ファンとして応援していた野村さん一家は、この時とばかりに山形に旅立った。

 

野村さんは回想する。
「当時、琴音は小学校5年生で、その年からクラブ活動が始まり、音楽クラブに入りました。最初、興味をもっていた打楽器を選ぶかと思っていましたが、意外にも琴音が選んだのはトランペットでした。それで女の子がかっこよく管楽器を演奏している姿として、『東京ブラススタイル』に肖りたいと思ったのです」。
そしてこの時、河田さんもアマチュアビッグバンド「sola」を率いて出場していたのだ。
音楽祭では「東京ブラススタイル」と一緒に演奏しようという企画もあり、琴音さんもそれに参加することになったのである。それを支えてくれたのが、東北学生音楽祭の実行委員長・片倉さんであり、琴音さんの音楽の魅力に注目した河田さんも、この時から応援してくれるようになった。

 

東京ブラススタイルのメンバーは、横浜から来てくれた琴音さんをステージの真ん中に立たせてくれてくれた。その演奏はみんなの心を大きく動かしたが、何より当時幼稚園年長であった弟の郷詩さんが、聴衆の前で演奏する姉の姿を見て、「自分もステージで音楽がやりたい」と決心させたそうだ。まさに未来のサファリパークDuoが約束された瞬間だ。
音楽祭から帰宅した2人はそれからすぐに練習を始め、郷詩さんが小学校に入学すると同時に、姉弟Duo「サファリパークDuo」が結成されるにいたった。数回の路上ライブを経た後、その年の阿佐ヶ谷ジャズストリートに、前座ながら初出演を果たしたのだった。

 

続く

 

(文・宮島永太良 /写真・関幸貴)

 
 
 
 
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