TOPTalk : 対談

画業10年を迎えた大野愛さん「これまでとこれから」を語る! 前編 

 
 

◇大野愛(おおのめぐみ)さんプロフィール

油彩画家。 
横浜出身・在住。
多様な価値観・世界の見え方をストライプで表現した画法で著作権取得。
シマシマ画 © 2013

◇大野さんの作品が観られるPort Art Pirates 展
会期:2023年7月5日(水)?17日(月・祝)
会場:岩崎ミュージアム
所在地:横浜市中区山手町254
電話:045-623-2111(代表)

 

これまでのこと

月刊宮島永太良通信編集部(以後Q):今日はよろしくお願いします。さて最初の質問です。今年2023年で画家として10年を迎えた大野さんですが、何時からと考えたら良いですか?
大野愛さん(以後A):大学4年の夏休みに「画家になる」宣言を家族にして以来、私は絵を描きたいと言う気持ちに沿って暮らして来ました。だから、忘れもしません。今から10年前の1月4日、心臓の音が聞こえそうなくらい緊張して、元町の川沿いにあったLunch pad Cafe Gallery にポートフォリオを持って私の初個展の開催をお願いしに行き、その思いが実現した2013年4月からの10年ですね。

 

:初個展には、どんな作品を展示したのですか?
:絵画教室で習っている時、写真とキャンバスに同じ数のグリッドをひいて、グリッドを観ながらキャンバスに描くと写真そっくりの絵ができるよと言われ、最初はそのやり方をやっていたのですが、描いているうちにグリッドを何か応用できないかなと思ってヨコジマ、タテジマ、タイル地などで描いていました。そして、大学を卒業した2011年か12年、大学時代の友人が熊本在住だったので遊びに行った時、熊本城の御神木がカッコ良かったので作品制作のために撮影したのですが、出来上がった写真は天気が悪くてほぼモノクロ。私は実際の茶と緑ではなく、カラフルな絵にしたいと考えていたので、グリッドの縦線を使って御神木を描くことにしました。それがきっかけでしたが、すぐに自作品をシマシマ画にしたのではなく、Lunch pad Cafe Gallery の初個展の時、タテジマ作品に統一しました。

:では、大野さんの画業はシマシマ画とともに始まったのですね。ところで初個展の反響はいかがでしたか?
:たまたま初個展で私と同じ早稲田大学のOBと知り合う機会があり、その縁で色々な方々や仕事を紹介していただいたのですが、そうした状況に甘えて知り合いに頼ってばかりじゃダメだなと思いながらも、どうして良いのか分からないまま月日は流れました。

 

:その間はどうしていたのですか?
:色々ありましたが、両親は私の画業に対しては一定程度の理解があり、住む場所は大丈夫でした。でも、生活費は自分で賄う約束でしたが、絵が売れると言ってもたまにですから、それだけでは無理なので、アルバイトで収入を得ていました。

:どんなアルバイトをしていたのですか?
:たまたま親知らずを抜きに行った歯医者さんでそのままアルバイトしたりとか、そんな感じでした。でも、ある時、不器用な私には仕事と画業の両立は無理だと思い至りました。つまりアルバイトをすると疲れ、絵に力を込められなくなりが手抜きの感じなる。これは負のサイクル、本当に良い流れではありませんでしたが、転機が訪れました。

 

:それはいつですか?
:2019年4月後半です。ネコの縁で、初めて百貨店の横浜そごうさんでやらせていただいた個展で何かがガラッと変わったと実感しました。と言うのも、それまではギャラリーを借りて個展をやっていても、来てくれるのは自分の知り合いがほとんど、通りがかりの人は入ってくれない。ネットで調べて来てくれる人もいなかったのに、百貨店の開けたフロアーに作品展示していると、観てくれるお客様が多いし、知らない人との会話が生まれ、その方たちがSNSをフォローしてくれたのは嬉しかったし、初めてお会いした方に作品を販売できた経験はとても大きかったです。

:ギャラリーとは全く違う横浜そごうでの個展開催は何回ですか?
:2019年に3回、20年から5月と12月の年2回になり、今年の5月でちょうど10回目になります。

 

:横浜そごうは、大野さんにとってどんな場所ですか?
:百貨店の営業時間中、自分がずっと張り付きでいないといけないので体力はかなり使うけれど、気持ち良く作品展示と公開制作ができる場所です。そして、「初めまして」のお客様に会えるのは嬉しいし、駅近なので知り合いも来やすいのが良いです。なんにしてもギャラリーだと、女性だと言うこともあって怖いこともありましたが、周囲に従業員さんもいるので安心です(笑)。

:さて、前半最後の質問です。これまでに画家をやめたいと考えたことはありますか?
:生活面で厳しいことがあった時、普通の仕事に就こうかなと考えたこともあります。と言っても何ができるのかと自問自答したら、私には絵を描くことしかできないので、一瞬で普通の仕事をすることはやめました。私には絵しかありません。だから初個展の機会を与えてくれたLunch pad Cafe Gallery の皆さまには、今でも感謝しかありません。

続く

 

(構成・撮影 関 幸貴)

 
 
 
 
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