TOPTalk : 対談

宮島永太良コロナ禍を語る 後編

宮島永太良
 
 

横浜のギッフェリcafeで行われていたシモン都霞展「明晰性とは何か…」を観た帰り、
宮島永太良はコロナ禍でのプライベートな日々を語りました…


月刊宮島永太良通信編集部
(以後Q):前回は個展等コロナ禍でのオフィシャルな面での永太良さんの思いを話してただきましたが、今回はプライベートな日常をどう過ごしてきたのかをお聞かせください。よろしくお願いします。
宮島永太良(以後A):まず、去年(2020年)4月7日の自分の誕生日に初めての緊急事態宣言が出たのには本当に驚きました。一瞬呆気に取られましたが、何故この日になったのだろうと様々なことを思い描きながら、一生忘れられない日になりました。でも、今年の誕生日は仕事で福岡へ行ってきました。

緊急事態宣言下

Q:1年で全く違う誕生日を迎えたわけですね。ところで福岡へは日帰りでしたか?
A:いいえ、1泊2日でした。コロナ禍で2020年は1度も飛行機に乗っていないから、2019年12月に沖縄へ行って以来の空の旅でした。

Q:福岡はいかがでしたか?
A:福岡は感染者が少なく、夜の街も割りに普通の雰囲気でした。しかし、ここにきて変異種が猛威をふるい感染者が大幅に増えた大阪が心配ですが、東京も他人事ではありません。とにかく我々一人一人がマスク、手洗い、ソーシャルディスタンスを心がけるのが最善の感染予防だと私は思います。それにしても、今までこうした流行り病があっても、どこか他人事の感じがしたけれど、このコロナだけは皆の仕事や遊びを含めた日常生活に多大な影響を及ぼし大変な状況になっています。

ブルーインパルス

Q:コロナウィルスに怖さを近く感じたのは、いつでしたか?
A:大好きだったドリフターズの志村けんさんの死亡が伝えられた昨年3月末ですね。あの頃から自分の中の緊張感が増幅、私自身もコロナ禍で何かしなくてはと思い始めました。

Q:どのようなことをされたのですか?
A:先月も少し触れましたが、ミュージシャンの星野源さんもSNSで発信しているのを知り、アートに関わる人間はアートで何かできないかと思い、今まで描いたことのない漫画を描いてみたり、対コロナウィルスの企画を考えたりしていましたが、当時は描くことはできても人に伝えることが難しいと実感しました。あの時は余裕がなかったんだと思います。でも、1年経った今のほうが創作ができるようなったし、伝える方法も分かった気がしますが、新しい企画は慎重に進めて行きます。

緊急事態宣言下

Q:創作以外、プライベートでは、どのようにして過ごしていましたか?
A:コロナ禍以前、年間何回か国内外を旅をしていたのですが、それができなくなり、ちょっと物足りなかったので、ストレス解消も含めて自分だけの新たな旅を始めました。

Q:自分だけの新たな旅とは?
A:まず遠出ができないので、旅気分を味わうために近所の歩いたことのない、知らない道を選んで散歩、近くなのに見たことのない景色をいろいろ探しました。これって想像以上に意外性があって、知らないトンネルも見つけたし、自分の住んでいる街にもかなり詳しくなりました(笑)。あと数年前からゴルフを始めたので、時々、多摩川の近くのゴルフ練習場に行くのですが、打ち終わった後の爽快感が何とも言えず良くて、風を受けながら、一瞬コロナ禍を忘れることもありました。

浜離宮

Q:散歩にゴルフ、共に体を使うアナログな動きですね。
A:でも、それとは別に好きな電車にも乗れないので、YouTubeで「車窓の旅」とかいうのを観ていました。

Q:主に観ていた路線はどちらでしょう?
A:JR外房線とか箱根大雄山線等です。

海

Q:けっこう近くの路線ですね。
A:知らない路線の車窓からの風景は見たことがありません。でも、乗ったことのある外房線や故郷の箱根大雄山線からの風景は知っているので、観ていても新鮮さはなく、そんなに面白くはありませんが、なんとも言えない懐かしさと安堵感を味わえるので私にとっては貴重な時間でした(笑)。

Q:コロナ禍において、アナログ・デジタル共にユニークな宮島さんの新しい旅ですね。さて、それ以外に、この1年で印象に残った出来事はありますか?
A:コロナ禍終息に向け自分ができることがあればと考え、どの程度役に立っているのは判断できませんが、ワクチン開発をしているところへ寄付をしました。あと…

宮島永太良

Q:あと?
A:実は昨年の5月頃、レインコートを防護服がわりに使用していると関西方面からのニュースで知ったので、「それは有効利用だ」と思い、何枚かコートを個人的に購入し、区役所に「使ってください」と寄付したのです。ところが、後から電話がかかってきて「防護服として使わずレインコートとして使って良いですか?」と問合せ。それで、駄目だとは言えませんから了承しましたが、コロナ禍で自分でできることを考えて行動したにもかかわらず、テレビ報道と現実のギャップを肌で感じ、どこか違和感を覚えました。こうしたこともコロナ禍だからこそ、起きているのかもしれませんね。

Q:たしかに、やはり平穏な時とは違いますね。コロナ禍で飛び交う様々なニュースや情報の中には、現実との隔たりを感じることがあるので、その見極め方や個人としての対応がかなり難しいこともありますね。

 

おわり

*取材日:2021年4月9日

(構成・撮影 世紀工房)

 
Copyright © 2010- Eitaroh Miyajima. All Rights Reserved.