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バードマン幸田さんと宮島永太良の対談 “JAZZ SPOT J”の至福♪

 
バードマン幸田さんと宮島永太良

個展案内状
▲ Jでの最初の個展案内状 ▲

◎バードマン幸田さんプロフィール

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本名:幸田 稔さん
東京都豊島区出身。
1946年3月28日生まれ、牡羊座、B型。
早稲田大学政治経済学部卒業。
10年間サラリーマン生活を送った後、
1978年に『JAZZ SPOT J』のオーナー。

『JAZZ SPOT J 』 新宿区新宿 5-1-1 ロイヤルマンション B1
 

今回は、ジャズとの歩みを語っていただきました。

 
個展の準備

宮島永太良(以下M):
こんばんは、いつもお世話になります。 また、今夜は開店前のお忙しい時間ですが、お付き合い宜しくお願いいたします。 早速ですが、Jで『ギャラリー』を始めた経緯から教えてください。
幸田さん(以下K):
火事から復活して数年後、常連だった赤塚不二夫さんが、『隣の店も借りてJを広げたら!』と、冗談を言っていたのです。  そうしたら、本当に隣が閉店。  それで、大家さんに交渉したら、『JさんならOK』の返事(笑)。  そこで1985年、二店の仕切りを排除して店を広げ、総面積も36坪になりました。  それを機に、広くなった壁にポスターばかりでは面白くないので、一ヶ月単位のギャラリーを始めました。  これまでに水森亜土さん、タモリ、有名無名を問わず、多くの方々にご利用いただいています。  ところで、昨年12月の個展で、宮島さんはJでの作品発表は何回目でした?

幸田さん

M :私がJを知ったのは2002年。  名まえも忘れた遠い知人の個展が縁で、逃げる様にここに飛び込んだのを覚えています。  それが最初、以後、個展とグループ展を合わせて4回開催しました。
K :えっ、最初は逃げて来た!?

M :そうです(笑)。  内容は詳しくは話せませんが、あの時は、とにかく何処かへ逃げたい心境で、ライブハウスで知人の個展があったのを思い出し、Jに潜り込みました。  その夜、ステージでは子役で有名だった斉藤こず恵さんがブルースを歌い、客席にはコメディアンの世志凡太さんをお見かけしました。
K :それは、面白い夜でした。斉藤さんは女優だけでなく現在ジャズ歌手としても活躍、世志さんは、かつてベーシストでしたから…

M :暗い店内、席に着き一息入れ、周辺を見回したらとても良い雰囲気、私の心に何か感じるモノがありました。  また、昔から、こうした場所で作品発表をしたかったので、逃げたい気持ちは、どんどん小さくなりました。
K:ここは、確かにチャージを払い、生のジャズが流れ、紫煙と飲食もあり、営業時間も午後6時半から零時までのナイトギャラリー。 通常のギャラリーとは一味違います。

個展の準備

M :だから、2003年にJで最初の個展を開くまでの顛末は、今も記憶に残っています。
K :どんな顛末?

M :Jのスタッフ高橋かおりさんとの最初の面談、東京フォーラムで展示作品を見ていただいたことなどです。 当初はかなり緊張しました。
K :そうですか。聞けば、その個展会期中には、個人的に大切な出会いもあったとか! それを考えると、Jはパワースポットで良い店でしょう(笑)。

M :……(笑)。 それから、私が芸能人の中で最も好きなタモリさんがJに深く真面目に関係していることを後になって知り、これも驚きましたが、また縁を感じました。  そして昨年12月の個展初日、偶然タモリさんにここでお会いでき、本当にラッキーでした! また、かつて大活躍していた前田武彦さんと言う放送作家が気になり、ネットで検索していたら、ユーチューブでヒット。  そのテレビ番組を覗いたら、大橋巨泉さん、小沢昭一さんとの鼎談。 そして、収録現場は何とJだったのです。
K :そう、フジテレビの『ボクらの時代』と言うトーク番組で、Jの雰囲気に合う3人の出演で私も大変嬉しかった。 その状況を考えても、確かにここは普通のギャラリーではありません。

個展の準備

M :そこです。 実は以前、他のギャラリーで『ジャズアート展』を見て、内容はレコードジャケットを描き写しただけの作品だったので失望したことがありました。  だから、私は、最初にJで個展をやる場合は、自分なりにジャズをイメージした作品を心掛けました。
K :ある意味、Jでインスパイアーされたと考えらますね。 しかし、今夜まで、私は宮島さんの気持ちは知りませんでした。 では、最初の個展は全て新作?

M :
はい、全作が描き下しで、内容的には、ジャズ10曲から得たイメージを作品化しました。 自分でもおかしかったのは個展をする頃、楽器を演奏したくなり、密かに練習をしていたのです(笑)。
K :へぇ〜、演奏! それも初耳。で、楽器は?

キャンドル

M :幸田さんと同じサックスです。
K :サックスは、どうなりました?

M :結局、吹けなくて終わりました。 それから、これまでピアノとギターを習いましたが、芽は出ませんでした。 そう、小学校のタテ笛以来、本番に弱いのかもしれません(笑)。
K :いや〜、そんなことがあったのですね。 でも、人生長いから、これから音楽の花が開くこともあるかもしれませんよ。  しかし、当時のエピソードを聞いているだけで、こちらも楽しくなります。 さて、JAZZ SPOT Jのオーナーとして改めて質問しますが、ここで個展を行う時は、どんな気持ちですか?

M :確かに一般的なギャラリーと違います。 ここは独特でジャズとセッションしている感覚があり楽しいです。
K :セッションですか、それは嬉しいな。 私からしたら、普通のギャラリーは、どれくらい時間を掛けて作品を見ていたら良いのかと考えたりして、結構、敷居が高く、オーナーや在廊する作者の目も気になります。  それに営業時間が昼間に限定されているので一般的な勤め人とは縁遠い世界かなと、思います。

幸田さん

M :最近は美術館が午後5時、ギャラリーが7時で終わりですね。
K :それでも、やっぱり早い。 煙草や飲食をして失礼かもしれないけれど、だからこそ、Jのギャラリーの存在意義があると考えます。

M :そう、Jで個展をすると決めたら、『煙草の煙は大丈夫なの?』と、問われましたが、時間的に1ヶ月くらいだったら大丈夫だと思い、私は気にしませんでした。  それよりも、夜しかゆっくり出来ない人に作品を見てもらうことが出来たのは良かったし、水森亜土さんや菊丘ひろみさんらアーチストに知り合え、新たなファンを獲得できたのも幸運でした。  会期中にここに居たら、ステージ上で紹介してもらえるし、Jを知ったお陰で違う世界も広がったと思います。
K :地下のJに逃げ込んで良かったですね(笑)。 私にとって、宮島さんは早稲田の後輩、それで最初から親近感がありました。  また、優しい外見とは全く違うイメージの作品を描くアーチストでもあり、そのギャップがとても魅力的。  そして、その作品と何年かに一度、1ヶ月間一緒に過ごせる私は幸せ者です。 これからも宜しくお願いします。

M :はい、苦しくて逃げ込んだ地下にこんな幸せが待っていたなんて、あの時は予想もできませんでした。  こちらこそ、これからも宜しくお願いします。 
今夜は、ありがとうございました♪

by Sekikobo
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