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☆ 名言迷路 卍 迷言名路 ☆     文 宮島永太良

このページでは、私が今までに聞いて興味をもったワンフレーズを紹介し、
それを考察しようというものです。
史上言い継がれてきた諺、偉人の言葉から、
著者の周り近所の人が発した言葉まで様々ですが、どれもこの世の中に暮らす人にとって、
何らかのヒントになるのではないかというものを挙げています。

〇 「いじめは犯罪です」

 かつて「いじめ防止キャンペーン」か何かの ポスターに出ていた言葉。

マネキン

 「犯罪」といきなり厳しい言葉である。 犯罪と一言で言っても、様々な犯罪が ほぼ毎日起こっているが、大きく分けると 3大犯罪に大別できる。 「窃盗」「詐欺」「暴力」である。 (殺人・放火も暴力の延長と見れるだろう)   「いじめ」というのはもちろん暴力に属するが、「嫌がらせ」「無視」といった心の暴力もここに含まれるといえるだろう。

 以前、教育現場でいじめによる自殺が連発 していた頃、テレビで教育関係者の誰かが、 「いじめを苦にする子はプライドの高い子 が多い」と言っていた。 それまで考えた ことはなかったが、確かにそうかも しれない。 いじめられる、ということは 軽蔑されているから起こることであり、「自分は人に軽蔑されるような存在ではない」と思うからこそ、いじめられているという事実 が苦になるのだろう。

 しかし、私が中学生の時、隣のクラスにいじめられっ子(男)がおり、 飲んだと思った水を顔に吹きかけられたり、その顔を雑巾で拭かれたり、そんなことばかりされてた。 ある時本人に、あんなことばかりされて悔しくないかと聞いてみたところ、 「自分は弱いから、いじめられても仕方がない」 というようなことを言ったのである。 これなどは、いじめられっ子といってもプライドの高くない例であるが、 決していじめを苦にしていなかった訳ではないだろう。 誰だってぶたれたり蹴られたりしたら痛いと思うし、それを恐怖に感じるのは当然だろう。

東京

 今のいじめが横行するようになったのは、 テレビの存在も大きいように思う。 特に1980年代ころ「○たち○○族」に代表されるような お笑い系バラエティ番組では、いじめるタレント、 いじめられるタレントが役柄として分けられており、子供たちの世界の「いじめっ子」「いじめられっ子」の 区別と似ていたように思う。 いじめっ子たちはテレビを見て「明日学校へ行ったら、アイツに同じことをやってやろう」と考えていたかもしれない。

 一方それより古い時代、私が小学生の頃やっていた 「○○だよ!○○集合」はよく見ていたが、 そこでも、相手に水や食べ物をぶっかけたり、といった、 いじめと取れるコントは数多くみられた。 特にタライで頭を叩く場面は見ているだけで痛そうだった。
 しかし、私たち小学生は、学校に行って友達に同じことをしてやろうとは 思わなかった気がする。 もちろん、出演者がしゃべっていたセリフなどはまねするものの、 肉体的演技に関しては「あの人たちはプロだからできるんだ」 と割り切っていたように思う。
 時代が進むにつれ、テレビと実生活に距離感が なくなっていった関係からだろうか。  
いずれにせよ、いじめというのは 現実を見据えてないことから起こり得るのだろう。

宮島永太良

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