Story : 詩と作品
連載43回 警笛が…
踏切にて
町中の、小さな電車は今日も来る。
一日に数本しか来ないが、その直前はいつもドキドキする。
こうして線路の真ん中に立っているその時に、
突然あらわれるのではないかと思うほどに。
電車はそのたびに、微妙に違った表情を見せて走り過ぎる。
中には互いに名も知らぬ様々な人たちが、
小さい部屋の中で話さぬ仲間のように乗りあっている。
多くの人の、多くの思いが、箱の中で一つになっているのか。
ここにいる自分には到底支えきれない。
そしてついに、警笛が聞こえてきた。さあ逃げるゾ!
「踏切にて」
宮島永太良