Story : 詩と作品
連載40回 …
眠りから覚めると、その光景にハッとした
眠りから覚めると、
その光景にハッとした。
自分の作ったものが、
いかに多くの人に影響を及ばしていたか…
男は農夫。
働かなければ物はできない。
物ができなければ食べられない。
その心がまえは、彼を徐々に
優れた農夫にしていった。
そして優れすぎた男は、
ついに多大な財を手にした。
その財は人々のために役立てられた。
多くの人が彼をたたえ、
さらなる期待をかけていく。
責任深い彼はそれに応えようと、
ますます多くの物を作るが、
それにも限界があると気づいた時、
ふと自問する。
「自分はもともと何を作りたかったのか」と。
そんな時、空を見上げたら、
どこからか、新しい希望の糧が届けられた。
「物づくり」としての原点が、
今その中にはっきりと見えた。
ふと、何もできない無垢な自分の存在を感じる男。
もう一度出発しよう。
自然に物づくりができる
人間らしい世界へ…。
「恵みU」
宮島永太良