TOPTalk : 対談

横浜港大さん橋国際客船ターミナル / 統括責任者
金木伸浩さん登場♪ 前編


金木伸浩さん横浜港大さん橋国際客船ターミナルで

◎金木伸浩(かねきのぶひろ)さんプロフィール

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金木伸浩さんspace
1960年12月2日 宮崎生まれ、神奈川育ち 射手座A型。
横浜商科大学商学部卒業。

2012年7月から、横浜港大さん橋国際客船ターミナル 
指定管理者 / 相鉄企業株式会社 統括責任者。
2005年 / 2011年、横浜トリエンナーレのスタッフを務める。

趣味:学生時代から音楽活動、現在も年に1~2回仲間とライブ、
   写真、ロックバランシング(石積み)など。


 

金木伸浩さんが横浜港大さん橋を紹介!

宮島通信編集部(以後・Q):昨年に続き、今春も「くじらのおなかギャラリー」を「花まつり」横浜会場に提供していただき、ありがとうございます。  今日は、前半で「横浜港大さん橋国際客船ターミナル(以後・大さん橋)」の施設紹介をしていただき、後半は金木さんご趣味の「ロックバランシング(石積み)」について、お話いただければと思います。  どうぞよろしくお願いいたします。  ところで、大さん橋は何時頃できたのですか?
金木伸浩さん(以後・A):2002年6月に暫定、12月に正式オープンしました。  国際空港と同じ客船に乗り降りするためのターミナルです。  同様の施設は、東京の晴海にもあります。

横浜港大さん橋

Q :年間、大さん橋に入港する船はどれくらいあるのですか?
A :140〜150隻の間ですね。  その中で「クイーン・エリザベス」に代表される外国航路の大型客船が40隻程度になります。

Q :乗降するお客様はどれくらいですか?
A :1隻の客船のお客様は国内客船の平均で300〜400人、外国客船の平均で800〜1000人、大型外国客船の乗船客数は最大約2000人です。

Q :それ以外、大さん橋への来場者数は?
A :当初は入港する船同様に少なかったのですが、2005年で約140万人。  2014年、昨年で約209万人です。

国際客船ターミナル

Q :多いと思いますが、何を目的に?
A :赤レンガ倉庫の700万人には及びませんが、ここに来れば、大小の船がすれ違う横浜港、異国情緒のある港町の光景を360度見渡せるので観光やデート、食事、そして、開催イベントへの参加を目的に来ていただいているようです。

Q :広くて抜けの良いスペースを利用して各種イベントも行われているのですね。  大さん橋では、年間どれくらいのイベントが催されていますか?
A :主催共催合わせて、年間40〜50件のイベントが、行われています。

Q :では、金木さんにとって印象的なイベントを教えてください。
A :基本的にイベントは、入港がない土日を狙って行われます。  そして、全てに甲乙を付けるわけではありませんが、まずは継続事業として皆で取り組み、横浜を代表する顔にしたいと考えている一大イベント、夏の「アロハヨコハマ」です。  会場が、みなとみらい地区にもあるので、昨年は3日間の会期全体で30万人が参加。  大さん橋へは15万人が訪れ、世界最大規模と肩を並べるハワイアン、フラダンスのイベントです。  そして、冬バージョンの「メレカリキマカ(ハワイの言葉で、『メリークリスマス』の意味)」で、昨年は12月下旬に3日間行われましたが、約7万人の方々にお越しいただきました。  私にとっても思い入れのあるイベントです。  今夏の「アロハヨコハマ」も8月7日(金)〜9日(日)の日程で開催が決定。  皆様、是非、大さん橋へ遊びに来てください!

大さん橋の屋上

Q :他のイベントでは?
A :毎年3月に行う「横濱三塔物語」も印象深いです。  これは、かつて船が入港する際、横浜はなだらかな地形で高い建物がなかったので、無事に航海を終えた船乗りたちにとって縁起の良い目印になったと言われる神奈川県庁(King)、横浜税関(Queen)、横浜市開港記念館(Jack)の三塔を同時に一望できるスポットが、大さん橋の屋上を含めて3ヶ所あり、それを1日で巡ると「良いことがある」というエピソードから始まりました。  今年の3月7日で9回を数え、当日は、あいにくの雨模様でしたが、地場野菜を扱うマルシェなどの主会場になった大さん橋には、約4000人が訪れ、賑わいました。

Q :たくさんの人が集まるそうしたイベントに接した時の統括責任者としてのお気持ちは?
A :私は大さん橋自体を非日常的でポジティブな場所と捉えています。  そして、客船入港時やイベント時、広い空間にたくさんの方々が集えば、必然的に聞こえて来る声や音は増えるし、大きくなります。  ある意味ノイズかもしれませんが、ターミナルは賑やかなで元気な雰囲気に包まれ、喧騒や人熱を感じられるのが何よりだと思います。

Q :ユニークな視点ですね。
A :すごく施設が使われている実感もあるし、命が溢れている感覚が好きです。  客船が入港し、乗客の方々が期待しながら横浜に上陸する姿を見ている時も、同様のワクワク感が伝わって来て、思わず微笑んでしまいます。

Q :その大さん橋でアート作品が展示されるようになったのは、何時頃ですか?
A :最初からギャラリーとして使うことを考えていたようですが、利用者へのアプローチの仕方を試行錯誤していて、なかなか実現には結びつかなかったようです。

くじらのおなかギャラリーで金木伸浩さん

Q :ギャラリー的な使用について金木さんはどうお考えに?
A :大さん橋をアートの場所にしたいと、私は勝手に考えていましたが、2012年着任時も散発的に展示している感じでした。  しかし、その約1ヶ月後、東日本大震災で被災し、いわき市に避難していた原発近くの中学生たちが、除染を終えた故郷に戻れることになったのですが、帰る生徒数は三分の一に激減。  そうなると、使っていた体育館があまりに広くなってしまうので、当時、鎌倉在住の画家 / 加藤力之輔さんの一畳より大きな花の絵20数枚を体育館に飾り、子どもたちを元気づけようという神奈川新聞が考えた「輝望(きぼう)プロジェクト」があったのです。  しかし、「絵の送料がない」と、知り合いの記者から相談されたので、「大さん橋に加藤先生の絵を飾り、募金をしよう」と提案し実行。  趣意書を添えて約1ヶ月間の展示を行い、なんとか募金は予定額に到達。 絵を無事に送ることができました。

Q :大さん橋とアートが手を組んだ被災地支援とは、素晴らしいですね。  なお、加藤力之輔さんの作品は、今年も「花まつり」の銀座会場に展示されます。  ところで、金木さんはこれから先、大さん橋でどんなアートの展示をしてみたいですか?
A :広い空間には大きな作品が映えます。  だから、そうした空間と勝負したいと考えているアーティストと出会い、その作品を展示してみたいですね。

Q :興味深い大さん橋のお話、ありがとうございました。  後半は、趣味のロックバランシング(石積み)についてお聞かせください。  よろしくお願いいたします。

ロックバランシングを試みる金木伸浩さん ロックバランシング
(文・写真 関 幸貴)
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