Story : 詩と作品
連載第23回 帰りを待つ…
「君の帰りを待っている人がいるのだから」
「今日は道草をして帰りたい」
「ダメだ。君の帰りを待っている人がいるのだから」
「その人にはいつも会っているけど」
「いつも会っているからって、
いつでも会えるとは限らないんだぞ」
「でも、道草をすると、面白いものがいっぱい見られるし」
「前には君は、面白い、赤い顔の人ばかり見つめて、
恩人との別れに遭遇できなかったことがあったよね」
「そういえばあの時は、自分が一人で楽しんで、
周りの人に迷惑をかけたっけ」
「君の帰りを待つ人は、君を最も思ってくれる人だ。
面白いものを見たいのなら、その人のもとへ
帰ってからにしてみては?」
「そうか、一緒に見れば、別れることもなく、
もっともっと強いパワーで、この世の素晴らしさを
見抜けるかもしれないね」
「SOUTH KUMEN」
宮島永太良