Story : 詩と作品
連載第19回 夜の海で…
いつも大切なものを教えてくれる
古い小さな帆船は、
大海をゆっくりと進みながら、
今日も月の光に照らされていた。
夜の海は暗くて走りにくい。
辺りをよく注視しながら
進んで行こう。
帆船は思った。
あの月の上に行けば、
いつも明るい海ばかりなのに?
いや、そんなことはない。
月だって、太陽の光を受けて
輝いているんだ。
自分もまた、その光に照らされてこそ
進んで行けるんだ。
気をつけていると、
波の静かなうねりの音に、
何日かぶりで気づいた。
自分を支えてくれている波の囁きに。
まわりを見渡せば、
助けてくれる仲間がいっぱいいたんだ。
風があるから波が起こる。
波が起こるから船は進む。
進んでいるから光と影に出会う。
そして光と影は、
いつも大切なものを教えてくれる。
「Light & Shadow」
宮島永太良