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好評連載!
 今回は宮島永太良が姫路城を探訪♪

第5回 姫路城

 2013年秋、宮島永太良は「天空の白鷺城」の別名でも知られる兵庫県の「姫路城」を訪れた。  宮島は、城下町/小田原の出身もあって日本の城に愛着があり、これまで名古屋城、大阪城、掛川城、犬山城などいくつかの城を回ったが、意外にも姫路城は今回初めての訪問となった。

 城内の建築物(大天守、小天守など)は国宝や重要文化財、城跡は国の特別史跡に指定されている。  また1993年、ユネスコの世界遺産に登録されたことも記憶に新しいだろう。

世界遺産

 山陽新幹線・姫路駅を降り、城のある北方面へ向かう。さぞ堂々とした天守閣を望むことができるだろうと思いきや、現在この時期、なんと天守閣の修理中であり、天守閣の絵の描いたテント?!にすっぽり覆われてしまっていたのである。

天守閣の絵の描いたテント

 今回「平成の大修理」の名のもと、大天守の白漆喰の塗り替え、瓦の葺き替え、耐震補強などを実施している。  2009年の秋からはじまり2045年3月に完成予定だ。

修理 修理

だが、日本一の白鷺城を修理中だからと見逃してはもったいない。  そう思って天守閣を目指して、一直線に進む(本当に駅から一直線の道である) 。 途中には天守を象徴するような、鯱の形をしたオブジェも並んでいる。

鯱の形をしたオブジェ

 絵に描いた天守閣が近づいて来ると、いよいよ歴史を感じるゾーンに入る。  大手門をくぐり、城の敷地内に入るとさすがに広い。  日本で最大級の規模を誇る城だけある。  例のテントももうすぐそこにそびえたっている。  本来なら「白鷺」と呼ばれる天守閣がナマで立っている場所に。

絵に描いた天守閣

 ちなみに「白鷺」と呼ばれる所以は諸説ある。 
(1)姫路城の建っている場所が「鷺山」という地名であること。  
(2)白漆喰で塗られた城壁の見事さを、鷺の美しい白色に喩えて。  
(3)この地に「白鷺」と総称される鳥が多く住んでいた。  
(4)黒い城壁から「烏城(うじょう)」と呼ばれている岡山城と比較して、などである。

 天守まで行く途中にもさまざまな見どころがあるのが姫路城だ。  白塗りの城壁には丸、三角、四角の形をした不思議なくりぬきがある。

不思議なくりぬき

これらは、狭間(さま)という射撃用の小窓であり、城内に約千個あるという。  敵もこんな所から不意打ちを受けたら手も足も出ないだろう。  小窓の内側と外側に角度を付けることで、敵を狙いやすく、かつ敵に狙われにくく作ってあるというのも驚きだ。  また、城といえば石垣だが、この姫路城は歴史上、五つの時代の石の積み方が見られるという。  羽柴氏、池田氏、本多氏、それぞれが城主の時代(天正、慶長、和元の年間)および江戸時代、明治時代のものだ。

石の積み

いよいよ大テントの麓に来る。  大テントは現在エレベーター付きの展望台となっていて、内側にある改修中の天守閣を、間近で眺めることができる。  天守閣の中をエレベーターで登り降りする城はあるかとは思うが、これはそうではなく、修理中の城を外から眺めるというものだ。  普通、城を至近距離から眺めるとなると、ヘリコプター等に乗らなければ無理だが、万を期して工事中の姫路城に来たからこそ、展望台から天守閣を眺めるという貴重な体験ができたと言える。

 そして、最上階に着いた。窓から見える五重屋根(天守閣最上階の屋根)は、修繕直後ということもありすごく綺麗だ。

工事中の姫路城

まるで歌舞伎の舞台を見ているようである。  一つ一つ丹念に並べられた屋根瓦は、職人技の結集を見て取ることができる。

屋根瓦

つくづくと思うのは、約650年前に建てられた城が、たとえどんな名城であろうと、現代でも存続させようと努力していることに、日本人としての喜びを感じてしまう。

大規模な舞台装置と錯覚する世界をエレベーターで見下ろしながら、地階に帰ってきた。 次に来た時は、どんな美しい白鷺になっているだろう。 その姿を想像すると必ずまたこの地に来ずにはいられない。 そんな楽しみを残してくれた旅だった。

天守閣から、城内の眺め

天守閣から、城内の眺め。

原稿 / 撮影 宮島永太良

 
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