Story : 詩と作品
連載第9回 輝き…
そして永遠の輝きをはなっていた。
戦乱によって焼かれた地は、
地元の人々の懸命な努力により、
賑やかな繁華街に生まれ変わった。
当時、そこで花を売っていた少女は、
今でも多くの人の記憶に残っている。
籠に乗せられた、遠い外国生まれの花々は、
人々の心の友だった。そしてその少女も。
時は経ち、新しい都市が誕生し、
その繁華街からも次第に
人は離れていった。
今では古ぼけた建物だけが、
あの当時を偲ばせている。
そして建物の片隅で、
埃にまみれている籠。
花が売られなくなって何十年経っただろう。
戦後の復興も、今は遠い昔。
そんな中、花は咲いては枯れ、
人は生まれては逝った。
あちこちに散っていった運命は
今この場所で、一瞬の、
そして永遠の輝きを
はなっていた。
「花色の回想」
宮島永太良