Story : 詩と作品
連載第7回 ひとり旅…
晴れ上がった空に虹が出た。
晴れ上がった空に虹が出た。
さっきまで降り続いていた雨は、
どこへ行ったのだろう。
そればかり気になって、こんな所まで来てしまった。
いつも雨が好きだった。僕のふるさとだから。
でも僕が来ると、雨はいつも逃げていってしまう。
雨が降れば、草も木も花も、
みんな生き生きとした顔を見せる。
隠れた虫たちも、舞い上がってくる。
もう一度降ってくれないだろうか。
この虹の先には、きっと雨の果実があるはずだ。
果実の中には、ぼくを作ってくれた人の
喜び悲しみ、思い出や希望がすべてつまっている。
おてんとう様を望みながら、みんなに囲まれながら、
いろんな思いを巡らせてきたんだ。
嬉しいときも悲しいときも、
雨のように涙を流したものだよ。
あの虹の道を渡って、僕を作ってくれた人の
心の雨をたっぷりと浴びてこよう。
「Tのひとり旅」
宮島永太良