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万城目純の『神楽坂独り語り』後編


万城目純さん

◎万城目純さんプロフィール
(ダンス・アート:まきめじゅん/ビジュアル:まんじょうめじゅん)

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アーチスト 東京出身、神楽坂在住。
1月28日、水瓶座、A型、2人兄妹。
和光大学人文学部人間関係学科専攻科卒業。

“身体と社会” を軸に、アートワーク、シアターワークで多種多様な表現を探求するアーチスト。  
表現ジャンルは既成概念に囚われることなく映像・美術・演出・身体表現と多岐に及び、独自の理論に基づく作品を制作・発表。
映像作品は、イメージフォーラム・フェスティバル1997一般公募部門大賞受賞後、ロッテルダム国際映画祭、ICAシネマテイク、MHKA美術館(アントワープ)、バンクーバー国際映画祭、プロジェクト・UKIYO(ロンドン)に参加。
 

人と猫を見ながら独り語りは続く…

 

○ 現在の表現行為は、映画、ダンス、演劇、美術も描くし文章も書く、色々な企画プロデュース、構成・演出と多岐に及んでいる。  それが、僕のアートであり、アーチストである意義。  本来アートは根源的な存在で領域が広く、その中に医学なり美学とかの専門領域がある、人間そのものがアートだと思う。  今日だって、誰に命令されたワケでもないのに、この神楽坂に射す日の光はキレイ、そして、その美しさを認識できる人間ってもの凄い総合体。  アートは人間総合と考えたい。

○ 普通の演出家は、自分のイメージに合わせるために演技指導をしたりする。  でも、僕は見ることが基本。 求められれば感想も言うけれど、最終的には演者の問題。ダンスもそう。  手取り足取りの振付はまずしない。ただし、稽古に入る前に自分の思いを、演者にマンツーマンで伝える。  このスタイルが可能なのは、演者と僕の間に築いて来た信頼関係があるからだと思う。  だから、皆は僕のことを演出家ではなく、単なるアドバイザーのおじさんと見ているかもしれない(笑)。

万城目純さん

○ 映画や演劇やダンスにしても、この基本的に個人の“眼”を貫いている。  撮影や演劇、ダンスにしても、アシスタントはいる場合はあるが、最終的には、人とは1対1の向き合った関係で創作活動をする。  なぜなら観客だって1対1だと思うから。  それは僕のような“個人映画”といわれるジャンルの映像や“小劇場”といわれる“演劇”でも“即興”や“ライブ”や“コンテンポラリーダンス”でもみんな同じ。  巨大な製作費を使った劇映画でも優れたものは、やはりこの観客と創作者の1対1の関係を貫きいたものだと思う。  僕はやはりこうした表現をつくりあげる過程が大好き。  だからひとつ、出来上がって完成してしまうと、もう次の制作過程に興味がいっている…

○ 僕は体に正直なことしかできない。  無理をするとアレルギーが出て、具合が悪くなる。  でも、真剣に思えば、ほとんどの人はそうじゃないかな。  それは、かつて多くの人が意識していた“直観”というかいうものに通じるかもしれない。  新田次郎の小説だったか、海が荒れる前に具合が悪くなるなまけもの漁師の話があり、結局、彼のお陰で漁師仲間全員が嵐に会わずに助かった物語。  つまり、人間は自然の一部で、その中に気象とか環境があるという感じ。  そう考えると、科学技術の発展等で現代人の“身体気象”は退化したのかもしれない。  だからこそ人が本来持ち得ている能力をもう一度思い出させ、覚醒させ、新たな現実に帰してやるのがアートの役割だと思う。

万城目純さん



◇ 万城目純さんの今後の活動

● 美術展 「+∞(無限大)展」参加
映像インスタレーション+・関連パフォーマンス
“パフォマティブ・ライフ あらかじめ取り付けられた影像をすりぬけ脈打つ光像たちの前で”
8月7日(火)〜12日(日):10時〜18時
(初日は14時〜 最終日は〜15時)
目黒美術館 区民ギャラリー
http://mmat.jp/about/floor/gallery.html ►

● 朗読とピアノと歌で構成されたオペラに兵士役で振付・出演。
増田昭一さん原作(小田原在住の満州引き揚げ体験者)
『少年サブちゃんと名犬ゴン』甘利真美さん作曲・歌
http://www.liebeschon.com/mami.htm#sakuhin ►
公演日:10月2日(火)横浜みなとみらい小ホール
    10月8日(月・祝)海老名文化会館小ホール

(構成・写真 関 幸貴)

 
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