宮島永太良、初のパリ個展を語る♪
今秋、パリで初個展を開く宮島永太良に現在の心境を聞いた!
編集部(以下Q):
パリで個展開催を決めた動機を教えてください?
宮島永太良(以下A):
自分からパリを選んだわけではありません。
昨春の上海個展の前後に知人に勧められたのが発端でした。
私自身、パリは1994、95年に行き、良い思い出のある街。
加えて単純ですが、世界の芸術活動の中心地です。
だから、日本以外のアジアでの個展を無事に終えることができたので、次は、ヨーロッパと考え、パリの話を進めました。
Q :90年代中盤、初めてパリを訪れた印象は?
A :映画や写真でしか見たことのなかったエッフェル塔やセーヌ川と直に対面、『本当にあるのだ!』と感動。
夢の世界に入り込んだ気分でした。 そしてなんと言っても、オランジェリー美術館のモネの『睡蓮』やルーブル美術館の作品群との出会いは素晴らしかったです(笑)。
Q :今回の個展準備のためにパリへは何度、訪れていますか?
A :昨年6月と今年2月の2度です。
Q :10数年ぶりのパリはいかがでした?
A :不思議な感覚ですが、パリが以前より身近に感じられ、もっと私自身も近付けました。
パリって行ったことがなくても、世の中に流れている情報で一定程度のイメージを、人それぞれに思い描きますよね。
でも、前回の訪問では、私のパリへのイメージと現実はかなり違っていました。
それでも良い思い出です(笑)。
ところが、昨年と今年は、昔から自分が想像していたパリに出会えたと気がしました。
Q :何故でしょう?
A :わかりません。 説明し難いですが、今回は、本当に私のパリがあったのです! 私の中で過ぎ去った時間が関係しているのかもしれません。
ただ、現実面に目を向けると、街の中の犬のウンチが以前とは比較にならないぐらい減りました。
飼い主のマナーが良くなったのかもしれませんね(笑)。
Q :それは何よりです(笑)。 では、個展会場の周辺の様子を教えてください。
A :有名なコンコルド広場やルーブル美術館からは、ちょっと距離がありますが、会場の『アートスペース・ギャラリー・パリ』は、エッフェル塔やセーヌ川から徒歩で約5分の『スイス村』の中にあり、周辺は骨董屋が多くて落ち着いた空間です。
地下鉄の駅も近く、交通の便は良いです。
Q :ギャラリーの雰囲気はいかがですか?
A :今回の個展会場を決めるために5軒ほど画廊を巡りましたが、ここが最も気に入った空間で、私が抱いていたパリの画廊のイメージそのものでした。
そのアートスペース・ギャラリー・パリは、1階と地下1階で構成。
面積は、わかりませんが、メインは地下の細長くて広い、開放的な会場です。
かつての銀座のJトリップアートギャラリーを彷彿させる内観でバーカウンターもあり、心が和みます。
前回の滞在中、そこで行われていた写真展のオープニングパーティに出席する機会がありましたが、良い雰囲気でした。
そう言えば、そこに行き着くまでに、ある画廊でユニークなオーナーにお会いしました。
Q :どんな感じの方でした?
A :古いビルの中にある画廊のオーナーで全く営業には興味なさそうで、とてもイイカゲンな対応でした。
私は見ているだけでしたから、その態度がおかしくて興味を持ちました。
でも、ひょっとすると、パリにはああした人は多いのかもしれません。 やはり一風変わった環境です。
Q :そのエピソードもどこかパリらしいですね。
A :パリらしいと言えば、最近では銀座にいても、『ここパリみたいだな』と、思うことがあります。
それだけ、私とパリの距離が短くなっているのかもしれません。
だから、今秋の初パリ個展は私自身も楽しみです(笑)。
Q :出品点数を教えてください。
A :新旧作の原画、版画、モロモロ合わせて40点以上の展示になる予定です。
Q :見どころは?
A :新たなお客様がどんな反応をするのか楽しみですが、全体を見ていただき、私の『異空間』を感じていただければ嬉しいです。
マルタ関連も色々と出品予定ですが、それに関連して、ここでお伝えしたいことがあります。
マルタ登場後、客観的に見て、それ以前の作品とマルタを別物と考える方も、少なからずいると思います。
しかし、マルタも私の作品のひとつとして誕生。
そしてマルタは、私の作品に自然に出たり入ったりできるキャラクターなのです。
そこを考え、パリで発表する数点の新作には、これまでと一味も二味も違う色々なマルタを描き込んでいます。
どんな作品に仕上がるか、現時点では私自身も想像できませんが、作品制作の上でも違う扉を開ける気がしています。
Q :それを聞き、個展を見る楽しみがひとつ増えました。 パリの後は?
A :パリが目の前なので、まだそこまで思い至っていませんが、『別の国で個展を!』と、いうお話もあります。
とにかく、今回が順調に行ったら、それを第一歩にして、今後も続けてパリで個展をできるようになれれば、ベストかなと考えています(笑)。
パリでの初個展と秋をおおいに楽しんで来てください。
今日はお忙しい中ありがとうございました。