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アートが気になるインタビュアーが宮島永太良を探る!

 

「宮島永太良研究」第16回 モチーフ

=アートが気になるインタビュアー/A=宮島永太良

:今回は、宮島さんが作品で扱ってきた個々のモチーフのお話をうかがいたいと思います。唐突ですが、ここに、宮島さんの2000年の作品「水金地火木どってんFlower」があります。タイトルのユニークさもさることながら、描かれているものも、おもちゃ箱をひっくり返したような楽しさであふれています。今回、宮島さんに作品のモチーフについて語っていただくにあたって、この作品を伏線に選んだのは、様々な種類のものが描かれていて、宮島さんの思いもいろいろ入っているのではないかと思ったからです。
:鋭いところを観ていただいて嬉しいです。タイトルは、舞台が宇宙になっているので、太陽系の惑星の順番を覚える時に言う「水金地火木どってん(土天)冥海」の「どってん」の部分を、中央にある花火の音と重ねました。フラワーは見ての通りです。サブタイトルを付けるとすれば「宇宙のパーティー」でしょうか。



:なかなか凝って付けたタイトルだったんですね。
:宇宙は本来花など無いし、生き延びることもできません。もちろん花火も上がりません。しかし人間の頭の中ならどんな空間も作れるし、パーティーも行えるということ、そしてパーティー自体も実は虚しいものなのではないかということを、アイロニカルな意味も含めて表しています。

:描かれている花はどんな思いがあったのですか?
:実はこの作品は「観客参加型」にしたかったのです。

:なるほど。参加型は宮島さんの得意技ですが、この作品はどのような点でですか?
:ここに描かれている花はそれぞれ「花言葉」を持っています。そこで、それぞれの花の花言葉だけを並べて、会う人会う人にどの言葉が好きかを投票してもらいました。そして、その多い言葉を花言葉に持った花々を描いたというものです。かなり限定的ですが、この絵の中には親しい方たちの好きな言葉が表されているというわけです。すずらんの「純粋」や、赤いチューリップ「愛」、マリーゴールドの「健康」等がありました。



:それは興味深い試みでしたね。ところで宇宙を舞台にしたのはどういうことですか?
:宇宙はやはり人間の未知の世界です。人間は、未知のものをいかに多く探せるかが大きな課題と言ってもいいでしょう。アートとはつねに未知の何かを求めて行くものと思っていますが、その大きなテーマをまずこの絵で表現したと言えます。

:これは太陽系ですか。
:一応ここではタイトルも示すように太陽系がモデルになっています。しかし私が他の作品でも描く天体は、広い宇宙のどこにでもあるかもしれないものを描いています。この広い宇宙には太陽のような恒星も数え切れないほどあるわけで、さらに地球のような惑星となったらとてつもない数存在するだろうし、人間のような生物も必ずどこかにいるだろうと私は信じています。地球人がそうした所まで行けないのと同じように、向こうもなかなか来れないのでしょうけれど。

:この絵にはありませんが、宮島さんの他の作品には、宇宙人が乗っていると思われるUFOのようなものもありますね。
:UFOはまさに他星人存在の夢を表しているでしょう。この絵ではそのとっかかり的なロケットの姿はありますけど。

:宇宙と言えばやはりロケットも象徴的ですからね。またこの太陽的な恒星には顔がついていますね。
:絵本などではよく太陽に顔がついていることも多いですよね。太陽を「擬人化」しているとも言えるでしょうか。ここでもなんとなく、宇宙のパーティーを、そのリーダー的な太陽(恒星)が優しく見守っている、というイメージを与えたかったのです。



:どことなく、岡本太郎の「太陽の塔」のようでもありますが。
:岡本太郎は私も影響を受けたアーティストの一人です。「太陽の塔」が登場した大阪万博から数年後、岡本太郎はテレビCMで「どんな物にも顔がある」と言っていたのを覚えています。確か酒メーカーの「顔付きグラス」プレゼントのCMだったと思います。そのデザインを岡本太郎がしたようなのですが、そこには生物はもちろん、この世に存在する物には、全て顔がある、つまり心がある、という意味ではないかと推測します。私のこの作品では太陽のみに顔がありますが、ここに出ている全ての物にも人格があると言ってもいいかもしれません。


  

 

  
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