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アートが気になるインタビュアーが宮島永太良を探る!

 

「宮島永太良研究」第5回

=アートが気になるインタビュアー/A=宮島永太良

:前回までは宮島さんのアートデビュー前後のお話をお聞きしましたが、その後も大変興味があります。
:はい、その後もさらにまた紆余曲折が続きますが、そうしたお話をする前に、現在の私の状況をお話しておこうと思います。 現在、私は人の体と健康のアートを役立てられないかということをライフワークにしていまして、昨年は一般財団法人「健康とアートを結ぶ会」も設立しました。

:なぜそのようなことをテーマにしようと思ったのですか。
:はい、いろいろありましたが、一つには親類縁者の中で、今注目されているヘルスサイエンスの仕事に携わっている者が何人かいる、ということがあります。 私は今の時代、この業種は非常に重要になると思います

マルタ

:最近、よく耳にする名称ですよね。
:今は医学が発達し、人の寿命も伸びました。 日本国内で考えると、男性の平均寿命は81.09歳、女性は87.26歳となっています。 ただ、これは介護などを受けずに本当に健康に生きている人たちの「健康寿命」とは違います。

:その健康寿命の方は、昨年の厚生労働省の発表によると、男性72.14歳、女性74.79歳となっていますね。
:そうです。 この寿命と寿命の差を縮めていくことが重要でしょう。 それを実現させていくのが、まさしくヘルスサイエンスの仕事だろうと思います。 人生100年時代がやって来るとも言われていますが、これを解決しなければ、逆に長寿による不幸にもつながってしまうでしょう。 話を戻すと、こうした事業が目指す「健康でいてもらうこと」の基礎には、メンタルな(精神的な)要素が多いと思われます。 たとえば生き甲斐、遣り甲斐、満足した心など、心が豊かでいられることこそ、体の健康にもつながるのではないかと思うのです。 アートはまさにそうしたものをサプライ(補充)することが可能です。 私がその分野にアートが役立つのではないかと思ったのもこのためです。

:やはりそれは、身内の方がやっている仕事を間近で見ていたという影響も大きいでしょうね。
:はい、間違いなくあります。もう一つは、2010年からウサギのキャラクター「マルタ」を作り、現在も皆さんがご存知のような活動に至っています。 このマルタは着ぐるみにもなり、いろいろな所へ出向いて行ったりしましたが、呼んでくださっている方、そして私自身の意向もあり、社会貢献的な活動も多くしていました。

:どのような社会貢献活動でしたか。
:東北の震災被災地の方の支援に行ったり、障がいを持つ方の施設に行ったり、各地域の人たちのスポーツ活動の応援に行ったり、いろいろありました。 特に障がい者施設では、さまざまなハンディを持っている方にお会いしましたが、それらの方々はハンディを持っていながらも、その上でも健康維持が必要であるということを学びました。

作品寄贈

:それは直に触れ合わなければわからない感覚ですよね。
:そうだと思います。 また「障がい者」に対して「健常者」という言い方をしますが、その言葉も実はあり得ないのではないかと思いました。 どんなに健康な人でも、私たちは生きていく上で、病気にしろ、怪我にしろ、ちょっとした癖にしろ、少なからず何等かのハンディと闘わなければなりません。 結局、介護が必要なくらいのハンディを持っている人たちを、あえて「障がい者」と呼んでいるように思えました。 私たちはその人たちと基本的に変わらないのですが、より小さなハンディで済んでいるのだから、大きなハンディの人を助ける義務もあるのではないかということです。

:いろいろな考え方があるとは思いますが、宮島さんの視点も参考にしなければいけないでしょうね。 そうした障がい者施設も含め、みなマルタに親しんでくれましたか?
:はい、皆さんがマルタと触れ合って喜んでくれる姿を見て、やはりアート、アート的なものは、人の心を豊かにするんだと確信を持ちました。

:ウサギのマルタは今後、そうしたテーマでも関係して行くのでしょうか。
:その予定です。

:そもそも宮島さんがマルタを作ったのは、どんな思いからだったんですか。
:キャラクターを作りたいと思ってのですが、その理由は、もっともっと社会とつながりを持ちたいと思ったからです。

トークショー

:社会とのつながりですか。
:はい、マルタを発表する少し前、自分のアート活動を顧みる機会があったのですが、もしかしたら自分の活動は社会とつながらず、孤立しているのではないかと、不安に感じました。 言ってしまえば自己満足になってしますのではないかと・・・・

:どのようなことが宮島さんにとって自己満足に思えましたか。
:例えば、私自身もかつて考えましたし、他の方からも提案されましたが、「作品の価値を上げる」という考えです。

:作品の価値ですか?
:もちろん作品の価値は低いより高い方が良いかもしれませんが、それにあまり固執し過ぎても、私に関しては本来の目標から離れてしまうのではないかと思うのです。

:次回は宮島さんのその辺の考えをお聞きして行きたいと思います。 どうぞよろしくお願い致します。

(写真:関 幸貴) 
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