TOPRoad : つれtakeロード

Road : つれtakeロード

 

鎌倉

師走も後半に差し掛かる時期、宮島永太良は神奈川県鎌倉の地を訪れた。
宮島にとって鎌倉は、幼少のころから親しみのある場所であったという。同じ神奈川県の小田原出身であることはもとより、宮島家の菩提寺もこの鎌倉の材木座に存在する。

鎌倉

今回は鎌倉の顔ともいえる、鶴岡八幡宮から巡ってみる。
その前に、八幡宮に行くまでには若宮大路という参道がある。今では車道となっているが、八幡宮入口から由比ガ浜まで一直線に、約1.8キロメートルという長さを誇る。途中には「一の鳥居」「二の鳥居」「三の鳥居」の三つの鳥居が存在し、また、より八幡宮に近い「二の鳥居」と「三の鳥居」の間は、段葛(だんかずら)といって、上下両車道の中央に一段高く盛り土でできた歩道になっているのが特徴だ。若宮大路といえばこの道を連想する人も多いだろう。

鎌倉

そしてこの道のもう一つの特徴は、入り口(海側)より出口(八幡宮側)のが幅が狭くなっていることだ。遠近法を使い、よりこの大路を長く見せ、八幡宮の威厳を示す狙いだったのだろうか。
「三の鳥居」をくぐるといよいよ八幡宮境内だ。平家池と源氏池にかかる太鼓橋(赤橋)を渡りたくなるが、今では通行できないようだ。まだ宮島が小学校に上がるか上がらないかの頃、この橋はまだ一般解放されていて、幼い宮島も挑戦したはいいが、急カーブが渡りきれず転んで膝を擦りむいたという痛い記憶があった。

鎌倉

この場所から正面の大石段まで200メートル弱。非常に広大な境内である。そして大石段の下に来るとその入り口左には、有名な大銀杏(おおいちょう)がある。鎌倉時代の1219年、2代将軍・源頼家の息子・公暁が、「右大臣拝賀の式」でここから降りてくる3代将軍・源実朝を殺害するため待ち伏せしたと言われる銀杏の木だ。ただ、その当時この銀杏の木はまだ小さく、人が身を隠せるほどではなかったとの説もあり、真偽はわからない。尤もこの銀杏の木は平成22年に一度台風で倒壊している。

鎌倉

いずれにしても時代劇・歴史劇などでは隠れ銀杏として描かれ、2022年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」でも、公暁による実朝殺害の場面が劇的に描かれていたのは記憶に新しい。その大河ドラマといえば、この地、鎌倉にあった幕府での人間模様が多々描かれていたが、宮島は昔から鎌倉幕府がどこにあるかというのが疑問だった。かつてはこの鶴岡八幡宮で政務が行われたと聞いたこともあるが、今では八幡宮から東方の位置、現在の清泉小学校のあたりの小さな場所であったという説が強いようだ。
だいたいにおいて、鎌倉時代の史実は時とともに変わり、幕府設立の年も1192年から1185年と解釈が変わったようだ。語呂合わせ年代暗記も「いい国作ろう」が「いい箱作ろう」と都合よく変えられたと怒っている人もいた。

鎌倉

鎌倉に幕府を開いた源頼朝が、朝廷から征夷大将軍に任ぜられたのが1192年だったため、その年に全てが始まったように考えられていたようだが、実は源氏が平家を滅亡させた1185年から幕府はあり、しかし全国を統率するものでなく、朝廷からは関東の一政務所扱いしかされていなかったと聞く。いずれにせよ800年以上も昔のことである。その解釈は永遠に確定することはないだろう。

鎌倉

大石段を登ってみた。総階段数61段。登りきると楼門があり、さらに拝殿とつながった本宮に対面する。国の重要文化財にも指定されている本宮。ここが参拝の中心である。振り返れば歩いて来た若宮大路を、ちょうど見下ろした景色が広がる。

鎌倉

八幡宮参拝を終えて鎌倉駅方面に向かい、小町通りに入る。ちょうど若宮大路の「二の鳥居」と「三の鳥居」の間、「段葛」の道とほぼ平行しており、鎌倉時代には唯一商いが認められていた通りだったという。その後は関東大震災で被災した店の多くがこちらに移転し、現在に至っている。

鎌倉

この日も多くの観光客がこの通りに殺到し、通りに面したカフェも賑わい、またクレープ、アイスクリーム、団子、コロッケなどの食べ歩きフードの店も人気だ。布雑貨の店が多いのも古都鎌倉の特徴だろうか。また観光地ではお馴染みの人力車もゆったりと走っている。宮島にとって小町通りで思い出深い店は、煎餅屋、蕎麦屋、うなぎ屋、おもちゃ屋などであり、今も健在な店もあるのは感激だ。

鎌倉

鎌倉駅から緑が丘方面のバスを10分ほど行くと「長勝寺」というバス停に着く。その名の通り、同名のお寺の前にあるバス停だ。
この長勝寺、毎年2月に、修行を終えた僧たちが水浴び読経を公開することで知られている。参加する僧たちはその日までの100日間、千葉県市川市の中山法華経寺にて、やはり連日水浴びをしながら読経する修行を続けてきた。

鎌倉

そしてこのお寺、実は冒頭でも触れた宮島の菩提寺でもある。そうした縁もあり、本尊を祭る帝釈堂の待合室には、宮島の作品も展示されている。(前々号の表紙作品)
2023年の2月も、また水浴び修行が公開される予定だ。寒い中ではあるが、一度その姿を拝むことで、心を引き締めてみてはいかがだろうか。

(文・写真 宮島永太良)

 
 
 
Copyright © 2010- Eitaroh Miyajima. All Rights Reserved.