TOPTalk : 対談

宮島永太良、シモン ミラニモポさんとアートを語る♪

 
 

シモン ミラニモポさん プロフィール

アーティスト
1960年:熊本県熊本市生まれ
1983年:和光大学人文学部芸術学科卒業
Meets Art Clubメンバー
現在、横浜在住
☆主な活動歴
1988年:銀座ギャラリー・オカベで初個展 
*以後、個展、グループ展多数参加 
1998年:新潟県(株)福田組「感動創造美術展」で優秀賞を受賞
2021年:マールツァイト(赤坂)東京、神奈川4ヶ所で個展開催
2022年5月:「健康をめざすアート展T」に出展
2022年10月:「健康をめざすアート展U」に出展

 


宮島永太良
(以後Q):今年5月に開催した「健康をめざすアート展」に続き、10月24日から始まる第2回にも出展していただくシモン ミラニモポさんに、前回の感想からアート関係まで色々お聴きしたいと思います。今日は、よろしくお願いします。
シモン ミラニモポさん(以後A):こちらこそ、よろしくお願いします。とは言っても宮ちゃん(=宮島永太良)とは、気楽な関係なのでなんでも聴いてください。

Q:まず、「健康をめざすアート展」を主催した財団代表として、シモンさんに出展していただいた考えをお伝えします。他の方々には、ヒーリングアート系作品や活動状況を紹介する意図がありましたが、シモンさんは、身体的ハンディを乗り越えて制作した作品を多くの方々に観ていただきたいと考え、出展をお願いしました。
A:それって、言葉じゃなくてこれまでの付き合いから私も同じ思いだったので、なんの違和感もありませんでした。と言うのも「健康をめざすアート展」は、障がいのある私を試してくれる新たな場だと認識しているからです。

 

Q:新たな場?
A:5年前から緑内障の影響で大きく変化し、私の視界は正面はボーッとしか見えず、周囲も部分的にしか見えません。そんな落ち込んだ私を奮い立たせるのに役立ったのがアートでした。また、障がいを持つ身になり必然的に「健康とアート」について考えるようになり、この5月に催された「健康をめざすアート展」に誘われたのは、私にとって本当にタイムリーでした。そうした障がいを持ったアーティストにNHKも注目、5分番組「no art, no life」を2019年からEテレで放映を始め、現在も続いています。内容は各地で活躍する知的障がいのアーティストを追っていて、知的障がい者の就労支援に繋がりそうな番組。その反面、知的障がい者の支援は進んでいるけれど、精神、身体障がい者の支援が現実には弱い気がし、もっと整ったら良いなと思っています。その成果として、将来的にパラリンピックの様なアートイベントが開催できたら最高でしょうね。

Q:シモンさん自身は、障がいを持ってから制作に関してどんな変化がありましたか?
A:視力が落ちた当初はできないことが多くなり失望の連続でしたが、時を経るに従って、障がいも個性の一つと捉えるようになりました。あの草間彌生さんも小さい頃から幻聴や幻視に悩まされていたけれど、それから逃れるために描いてきました。つまり、言い換えるとアートがあったからこそ、草間さんは生きてこられたし、世界的な芸術の才能が開花したんじゃないかな。そう考えると「健康とアートを結ぶ会」は、障がい者支援の意味もあり、私が障がいを持ってから約1年後に宮ちゃんが財団設立、これも縁かもしれません(笑)。

Q:そうですね。今回の展覧会を通しても私自身が考えてもいなかったことが起きているのは事実ですが、将来的にはハンディを持った人が、その事実を語らなくても作品発表できる場を作ることも財団の目標の一つです。
A:真面目な話、私たちのアートは負けていないから、いつか健常者と分け隔てなく展示する場ができたら、そんなに嬉しいことはないです。

 

Q:ここで、ちょっと話題を変えましよう。実際、今年5月の「健康をめざすアート展」に出展してみていかがでしたか?
A:来場者の方々にミーツギャラリーとACTで自作品を観ていただくことができて素直に良かったです。あと、展示に関してのことだけど、他と違いハンディがあり自分一人で自作品を展示できなことも気にならなかった。

Q:展示ができない?
A:私の視力では展示場所の様子を把握できないから、グループ展の場合は他の人の作業が一段落つくまで待たなければならないし、個展の時は必ず誰かにサポートしてもらわないとできない。こうした助力を得るのは大変嬉しいことだけど、待っている時、人にはうまく伝えられない寂しさを感じることが度々ありました。

Q:「健康をめざすアート展」では?
A:ところが、「健康をめざすアート展」では、宮ちゃんをはじめスタッフの誰かしらが自然にサポートして展示を手伝ってくれたから、寂しさを感じることは全くなく作業はスムーズに進行、ただただ感動しました。こうした心遣いって、我々にとってはとてもありがたいことだから、あらゆる展示会場がそうなってくれたら嬉しいですね。

 

Q:大きな問題提起をいただいた気がします。では、ここで最後の質問です。シモンさんの「夢」を教えてください。
A:「夢」は大きいですよ。最近、アンディ・ウォホールの著作「とらわれない言葉」で「ポップ」の意味を知ったんだけど、私の「夢」は、それに直結している。

Q:「ポップ」?
A:アンディ・ウォホールの定義だと、素人が一瞬見ただけで分かるのが「ポップ」。例えば、2000ドルの絵と現金2000ドル紙幣を並べたら、どちらがポップかと言えば、現金! そこから考えると、私が近ごろ好んで使う色、金は間違いなく「ポップ」。だから、いつの日かニューヨークの何処かで壁や天井に金箔を貼って豊富秀吉の金の茶室を作ってみたい(笑)。

Q:それ、とても楽しそうな光景が想像されます。それから、今まで漠然としていた「ポップ」の意味が、シモンさんのお陰でやっと分かりました。どうもありがとうございました。そして、第2回「健康をめざすアート展」もよろしくお願いします。

     

*取材日:2022年9月5日

 

(構成・撮影 関 幸貴)

 
 
 
 
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