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アートが気になるインタビュアーが宮島永太良を探る!

 

「宮島永太良研究」第27回 展覧会と絵のサイズ

=アートが気になるインタビュアー/A=宮島永太良

:前回は、宮島さんの命名、特に「マルタの冒険」やそのキャラクターたちの命名について、知られざる事実も交えながらお話いただきました。これで宮島さんの作品に関する、色、形、モチーフ、タイトル等、各要素をお聞きできたことになります。ところで宮島さんは美術作家の中でもわりと多方面に活躍されていると思いますが、その中心はやはり展覧会ということでしょうか。
:美術作家としての活動は、展覧会以外に様々にあると思いますが、やはり中心は展覧会と言ってもよいでしょう。

:展覧会といってもいろいろな種類がありますよね。
:そうですね。やはり個展が代表格、その他二人展、グループ展、団体展、公募展などありますが。おもしろいのは、「個展」という言葉の意味をわかっていない人は意外に多く、絵や美術品を展示しているのは全て「こてん」と言い表す人もいます。

展覧会の様子

:漢字を見て少し考えればわかりそうですけれどね。
:しかしながらそれはそれで、美術に興味があるということで嬉しいのですが。

:そうですね。ところで宮島さんはこれまでいくつくらいの展覧会に参加しましたか。
:初個展から23年、グループ展はそれ以前から参加しているので数え切れません。個展の数はというと、平均で年2回くらいやっているので、50回弱くらいでしょうか。

:大変多いですね。いつも個展の際に考えられることはどんなことですか。
:私の場合は絵画=平面作品が多いので、それを前提にお話しますが、まず作品を額に入れるか入れないか、ということがあります。私自身は額には入れない方が好きなのですが、一般的には絵画は額に入っているものと認識されがちです。しかしながら額に入れることのできる絵というのは、種類としては一部ではないかと思うのです。その一部が大多数なので、今現在のような状況ではあるのですが。

:一部が大多数なのですか。
:はい。絵画の世界、また文房具の世界では既成のサイズというのがあるので、型に収めやすいのです。

:市販の紙のA1とかB2とかいうものですね。
:そうです。絵画を描くためのキャンバスは枠に張るのが一般的ですが、その枠にはF(人物画向き)、M(海景画向き)、P(風景画向き)などの種類別があり、それぞれ小さい方から0号、3号、6号、20号などとナンバーがついていて、その大きさの枠に張るシステムになっています。1号はだいたいですが、ハガキ1枚分くらいです。額もそうした規格に合わせたサイズで作られているため「枠張りキャンバス×額」のセットは、絵画の世界では大変ポピュラーなのです。実は私自身もよく使う張りキャンバスのサイズはあるのですが。


展覧会の様子

:どんなサイズを使われるのですか。
:私が一番得意なのは10号(人物画向きのFで530mm×455mm)前後なのです。

:ここにキャンバスサイズ一覧表があるので見てみると、10号前後というと6号から12号あたりまでですかね。
:まさにその辺りです。ただ、内容が少し充実しそうだな、と感じると、20号、場合によっては50、80号くらいまで行くこともあります。

:その大きさは制作しにくいわけではないですか。
:はい、このあたりになると多少場所はとりますが、描きにくいことはありません。ただ、40号を超えてしまうと、ほぼ額に入れて展示することはありません。重量的に重くもなってしまいますが、何より絵が塞がれてしまう感じになるからです。これは10号前後の場合も同じで、本来は額に入れず解放したまま展示するのが、より絵の「物質感」が高められると思っています。

:「物質感」ですか。
:かつてもお話したことがありますが、絵とは言っても完全な平面=二次元ではなく、厚みもある三次元の物です。枠に張ってあるキャンバスやパネルに描かれた絵はもちろん、張っていないキャンバスや画用紙に描いた絵も例外ではないので、私はその三次元の感覚も大事にしたいのです。

:以前お話しされた、絵画の三次元性のことですね。
:はい。それで展覧会に話を戻すと、やはり額無しの展示が圧倒的に多いということでしょうか。ただ、かつて200号の絵を複数描かなければならなかった時は、少し苦痛を感じました。大きいから疲れるということではなく、感覚が麻痺しそうだったのです。


展覧会の様子

:私は拝見してないのですが、上海美術館での展示の図録を見ると、そのサイズがありますね。この時もかなり苦労されたのでしょうか。
:そうですね。即興でそのサイズを描くならまだ良いのですが、あらかじめスケッチのあった絵ばかりだったので、それを大きな画面に移し替える作業、そして絵具の塗り込み作業が時間がかかり、建設作業をしているような心境でした。またそれ以上に、制作場所の確保、作品の運搬がことのほか大変だったのを覚えています。

:私も公募展などですごく大きな絵を見ると「場所が広くないと描けないな」とつくづく思ってしまいます。
:話はそれましたが、整理すると、展覧会では自分にとって普通サイズの絵は額に入れたり入れなかったり、大きめの絵はまず入れない、という感じです。額は、入れたら入れたで便利な面もあるのですが。

*写真は「宮島永太良上海慈善画展〜異空間からのメッセージ〜」
 (2010年4月・上海美術館)で撮影。

  

 

  
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