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アートが気になるインタビュアーが宮島永太良を探る!

 

「宮島永太良研究」第25回 タイトルB

=アートが気になるインタビュアー/A=宮島永太良

:宮島さんの作品タイトルから始まり、展覧会タイトルにいたるまで、ご自身での命名についてお話しいただいていますが、宮島さんにとって、命名のコツなどはありますか。
:コツというほどのものはないですが、私はもともとダジャレが好きなので、その延長っぽいところもあります。日本でダジャレというとオヤジギャグとか低レベルのイメージがありますが、外国では「韻を踏む」等と表現され、ウィットに富んだ表現とみられることが多い。結局は世に存在する多くの店名、テレビの番組名などもダジャレ、韻踏みの要素が多いと思えます。自分もそのご相伴にあずかっているのかもしれません。

:先に挙げられた「どってんFLOWER」などもその系統でしょうかね。
:間違いないです。またダジャレとは言わないまでも、ダブルミーニングの活用というのもあります。近年では「さがしもの展」というのも命名しました。これは今財団で取り組んでいる「健康とアート」に特化した個展ですが、主に間違い探しや、マルタ達が登場するキャラクター探しなどが主体なので、つまり探すことが多いのでそういう名前にしました。普通「さがしもの」と言えば、身の回りの見つからなくなってしまった物を探すことですが‥‥


「さがしもの展」

:その昔「さがしものはなんですか」という歌詞の歌がありましたが、それとはちょっと違う意味の「さがしもの」ですね。
:同じようなタイトルとして10年ほど前に「夢さがし旅」というタイトルの個展をしたことがありますが、今考えるとちょっとこのタイトルが恥ずかしいです。「本当に夢を探していたんだろうか」ということももちろん、何かロマンチックになりすぎている感があります。なので逆に、「さがしもの展」において「夢さがし旅」というタイトルの作品を、焼き直しのつもりで新たに制作し、出品しました。

:さて、宮島さんにはご自身の命名について語っていただいていますが、読者の中には「あの話はいつ出るんだろう!?」と思っている方もいるかもしれません。そこで、いよいよ私もお聞きしたかった佳境に入ります。「マルタの冒険」の命名です。物語のタイトル、そしてキャラクターの名前も宮島さんの命名なんですよね。
:はい、これまで何度も言ったかもしれませんが、かなり昔から自分の頭の中には水色のウサギがいて、ある時、これをキャラクター化しようと思いました。

:それがいつ頃からマルタという名前になったのですか。
:名前が付いたのは前述の「アート夢ぽけっと」内で初めてアニメーションとして登場する直前です。実は最初、二つ名前の候補があったのです。一つマルタで、単に顔が丸いからという単純なものでした。


マルタ

:もう一つは何という名前ですか。
:実はシェイクという名前も候補にありました。

:シェイクとは「振る」という意味ですか。
:昔の十二支を使った方位では、卯(うさぎ)の方角は真東であり「震宮」(しんきゅう)と言います。この「震」を英語にすると「シェイク」ではないかと思ったことからの候補名でした。

:「マルタ」と比べると、随分意味深いですね。
:しかし、関係者などにどちらが良いかアンケートし、ともに検討したところ、結局は単純に考えた「マルタ」の方が採用になりました。
マルタの相手役のムーは、月にウサギがいるという伝説を考え、月のムーン(moon)から付けました。ただ、最初は「ムーちゃん」というちゃんづけの命名でした。ただ、他にキャラクターが徐々に出てくるにしたがって、ニックネームのような名前だけでは不完全と思い、「ムー」が本当の名前となりました。

:後付けのようですが、マルタも「丸」が月を連想させますよね。
:確かにそうです。名前を付けると不思議なもので、後から「こういう意味もあったのでは?」ということが出てくるんです。


マルタと友だち

:他のキャラクターについてはどうですか。
:マルタを中心にした物語では最初、十二支にいる動物をキャラクター化しようと考えました。今ではそうでない動物もいますが。その命名にあたって、ある人から、子供たちが英語を覚えられるような名前がいいのではないかというアドバイスをいただいたことがあり、そのアイデアから付いた名前がサルのモンキチとウシのオックです。モンキチは「monkey」から、オックは雄牛を意味する「ox」からです。トラ村長の息子であるコージーは、逆に古来からの日本の言葉を覚えてもらおうという狙いで、トラの子なので「虎児」から付けました。またヒツジのウルルは毛糸の「ウール(wool)」からです。

:犬はなんでトムなんですか。
:これは一般的にはわからないと思います。なぜなら私個人の、いや、宮島家の遠い昔の出来事がベースにあるからです。

:遠い昔というとどのくらい前ですか。
:60年はたっていると思います。

:それは私たちが聞いて良いものでしょうか。
:今まで話したことはありませんが、今回は初めてお話しすることになると思います。

  

 

  
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