Story : 詩と作品
連載67回「ちょっと待って」
「ちょっと待って」
「ちょっと待って」
コーヒーを前にしたときに聞こえたその声
幻だろうか
前に渚で見たあの子が
入れようとした角砂糖を持っている
「あなたが入れてくれるのね。ありがとう」
一杯のコーヒーから、親切の花咲くこともある
「ちょっと待って」
「もう二個目でしょ。入れすぎは良くないよ」
次の瞬間、二個目はどこかに消えていた
もう見えないあの子
本当にありがとう
「ちょっと待って」
宮島永太良