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Road : つれtakeロード

 

高松〜小豆島

寒気もうっすら残る3月下旬、宮島永太良は香川県の高松から瀬戸内海の小豆島を巡ってきた。最初に着いたのは香川県の県庁所在地・高松。高松市は人口約42万人で、四国では愛媛県松山市に次ぐ都市となっているが、市街地(高松駅周辺)が大変合理的にできているのも特徴の一つだ。歩行者は一度高架を登れば、周辺のホテル、市民ホール、バスターミナル、港などにも車道を横切ることなくアクセスできる。

高松

その中の一つのビル、シンボルタワーの最上階展望フロアからは瀬戸内海を含め、高松の街が一望できる。地上30階。この辺りにしてはかなりの高さである。ここから見る高松の夜景はとてもきらびやかだ。と思いながら地上に降りてみると、このタワー自身もとても賑やかな装いを見せている。特に夜の光景は秀逸で、宮島はかつて訪れた上海の東方明珠を思い出したという。昔よく描かれていた未来都市を思わせる一面もある。

シンボルタワー

香川県といえばうどんだが。ここでは関東で昔から食べられている温かいスープに入ったうどん(蕎麦屋にもあるタイプ)、ざるタイプのうどん、そしてぶっかけうどんと、3種類のタイプのうどんを出している店も多い。こしが強く、かと言って硬すぎるわけではない、さらにのど越しの良さも、この地のうどんの特徴と言えるだろう。

シンボルタワー

高松の歴史的遺産といえば高松城である。海の近くという珍しい位置にあるその城は、現在は残された遺構とともに、街中の風景に溶け込んでいる。城址公園である「玉藻公園」の入り口近くには、琴電琴平鉄道の出発駅「高松築港駅」があり、城内の景色が駅の借景のようになっている。

高松城

豊臣秀吉の家臣であった生駒親正が、秀吉の四国平定により讃岐国(現在の香川県)を与えられたことにより、1588年から築城された高松城。その後、徳川光圀の兄・松平頼重に城主が変わり、天守閣も完成するが、その天守閣は明治初期に解体され、現在にいたっている。訪れた観光客が濠の魚にエサをやるのも、この玉藻公園での一つの風物詩のようだ。現在、高松城の天守閣の再建計画があるとの話も聞く。そうなると城好きには外せないスポットがまた一つ誕生することになり楽しみだ。

高松から高速船で約30分、着いたのは小豆島である。
小豆島は面積が153.30 km2と、瀬戸内海では淡路島(=592 km2)を別格として、一番大きな島である。人口も約2800人と多く、海沿いにはスーパーや書店などのショッピング地域もある。

小豆島

小豆島といえばオリーブ国内栽培の発祥地として知られ、現在も小豆島産のオリーブオイルが全国で親しまれている。この日は宮島も、知人のオリーブオイルの会社の関係者から、その栽培地を見せてもらった。印象に残ったのはは2011年3月12日、おりしも大震災の翌日に、偶然スペインから移植されたオリーブの木であった。近年この島は観光にも力を注いでおり、海岸にも棕櫚の木の植樹をはじめ、南国を思わせるような風景が形づくられている。棕櫚の木は胞子を飛ばして勝手に繁殖して行くというから興味深い。

スペインから移植されたオリーブの木

小豆島の代表的な観光スポットに「エンジェルロード」がある。「恋人の聖地」としても話題のスポットとなっている。海岸から沖の小さな島まで、潮の満ち引きによって道が現れたり消えたりする幻想的な場所である。旧約聖書を題材にした海外の映画「十戒」では、海が割れて突然道があらわれ、モーセ率いるヘブライ人たちがそこをわたってエジプトを脱出するというシーンがある。もちろん旧約聖書にある場面の映像化だが、一説にはその道も、このエンジェルロードと同じく、引き潮によって現れた道を、当時の人は神が作ってくれた道ととらえた描写と言われている。

エンジェルロード

この日も多くの人が、マスクをしながらもエンジェルロードを行き来して楽しんでいる姿が印象深かった。やはりこうした日常を超越したスポットの方が、人々のマスク姿があらためて気になるものだ。このエンジェルロードの入り口では現在、島の観光プロジェクトの一つとして、エンジェル(天使)をテーマとした一大企画が進んでいる。実は宮島永太良も関係しているのだが、詳細はあらためて「月刊宮島永太良通信」で報告することとしたい。

妖怪美術館

小豆島でもう一つ注目されているスポットといえば「妖怪美術館」がある。妖怪の絵を得意とするアーティスト・柳生忠平氏をはじめとし、世界中のアーティストが描き、作った妖怪作品が集められている。漠然と怖がられることが多い妖怪ではあるが、この美術館では妖怪というものの定義も紹介されている。それによると、妖怪とは世の中のどんなところにも宿っているもので、それらは時には人を驚かせたり悪戯もするが、基本的には人間たちを見守ってくれているものだという。姿が奇抜なので人間は怖がっているだけなのかもしれない。日本の神道では、神様はどんなところにも宿っているという「汎神論」の考え方があるが、妖怪も神様の存在の仕方と似ているのだろうか。そんな妖怪の本質を吟味しながら見る作品たちはとても奥が深い。中には、扉を開けると突然怖い顔が現れるといったスリル満点の作品もあるし、思わず抱きしめたくなるようなかわいい子供の妖怪もいる。この美術館では全国から妖怪をテーマにした作品の公募も行なっているので、興味ある方はぜひホームページでも確認されたい。

妖怪美術館

エンジェルも妖怪もいる島、小豆島。世の中には目には見えなくても、私たちに愛着を持ってくれるものが、まだまだあるのかもしれない。それらは瀬戸内海の風に乗って、今日もやって来ているようだ。

(文・写真 宮島永太良)

 

☆妖怪博物館→https://yokaimuseum.on-the-trip.com

 
 
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